image

 

まだ6月に入ったばかりだというのに、すでに猛暑日も記録している今年。記者は冷たい飲み物を求めて、コンビニに入った。「ダイエット中だし、あまり甘くないドリンクにしようかな」。ところが……、目に飛び込んできたのは糖質ゼロ、無糖、シュガーレス、抵糖、微糖、甘さ控えめといったさまざまな表示。迷ったすえに選んだのは、無糖表示のドリンクだったが、ん?けっこう甘い。

 

それにしても、何でこんなに表示が多いのか?そんな疑問に答えてもらうため、管理栄養士で、横浜創英短期大学名誉教授の則岡孝子さんに取材した。

 

「たしかに、一般的な消費者にとっては、わかりづらいですよね。甘さの表示には『栄養表示基準』という定めがあり、消費者が誤解しないような説明を義務づけられています。逆に言えば、それに抵触さえしていなければ、表現は比較的自由なんです。各メーカーが工夫を続けた結果、こんなにたくさんの表現が生まれたのでしょう」

 

この数年の低糖質ダイエットブームのせいか、「糖類ゼロ」を売りにしている食品や飲料も多い。たとえば「コカ・コーラ ゼロ」にも、「糖質ゼロ カロリーゼロ」という表示があった。

 

「糖類ゼロは食品100グラム(飲料なら100ミリリットル)あたり、糖類が0.5グラム未満であれば、表示することができます。実は無糖、シュガーレス、ノンシュガー、シュガーフリー、これらすべて同じ基準なんです」

 

よく似た表示に「糖質ゼロ」もあるが、食品100グラム(飲料なら100ミリリットル)あたり、“糖質”が0.5グラム未満の場合を指す。

 

「糖類は単糖類(ブドウ糖や果糖など)と二糖類(砂糖、麦芽糖、乳糖など)のことです。糖質といった場合、それに加え、オリゴ糖、多糖類(でんぷんなど)、糖アルコール(キシリトール、エリスリトールなど)を含んでいます」

 

糖質ゼロのほうが、糖類ゼロに比べて、より幅広い糖成分を取り除いているのだ。

 

「糖類ゼロであっても、オリゴ糖や多糖類、そのほかの甘味料が使用されていることはあります」

 

ちなみに前出の「コカ・コーラ ゼロ」には、スクラロースやアセスルファムKといった人工甘味料が使用されている。きっと記者が購入した無糖のドリンクにも、何らかの砂糖以外の甘味成分が入っていたのだろう。

 

また低糖、微糖、糖分控えめも、飲料100ミリリットルあたり糖類2.5グラム未満と、3者とも同じ基準。だが、同じ微糖製品でもメーカーによって、かなり甘さが違うような気がする。

 

「そうですね、飲料なら2.5グラム未満であればいいわけですから、A社の製品には2グラム、B社の製品には2.5グラム、C社の製品には1グラムというように、糖類含有量がバラバラでも、同じ扱いになるのです」

 

甘さ表示の例を集めていて、気になったのが、「砂糖不使用」だった。砂糖を使っていないのだから、無糖やシュガーレスでもいいような気もするのだが……。

 

「この表示は、製造工程で砂糖を使用していないということで、原料そのものに砂糖や果汁、天然甘味料などの糖分が含まれていても構わないのです。天然甘味料とはハチミツやサトウキビなどから取り出した甘味成分を精製し、濃縮したものです。ジュースの原材料に『果糖ブドウ糖液糖』と表示されていることもありますが、あれも天然甘味料です」

 

“砂糖の甘味”という点では、砂糖不使用の製品のほうが、シュガーレス製品より甘いということのようだ。

 

「ただシュガーレス表示でも、キシリトールや人工甘味料をたくさん使用していて、とても甘いこともありますので、注意してください」

関連カテゴリー:
関連タグ: