登山や旅行に出かけるとき“もしも”のケガには備えたい。でも、毎年の保険料は抑えたいから、年間契約の保険には入りたくない……。
最近、このようなニーズに応え、1日単位で加入できる「オンデマンド(需要に応じた)保険」が相次いで発売されている。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんはこう説明する。
「一般的な損害保険は1年間に4,000〜5,000円の保険料がかかりますが、オンデマンド保険は、1日300〜500円程度ですむので、場合によってはかなりおトク。種類も豊富で、スポーツや日帰り旅行に対する備えだけでなく、コンサートのチケット代を補償してくれる保険まで登場しました」
電話やインターネット経由で契約できるなど、手続きもかんたん。ただ、おトクに使いたいなら注意も必要だ。
「すでに加入している医療保険やクレジットカードの付帯保険のサービスと、補償の内容がかぶる場合もあります。すでに入っている保険でカバーされない分を、オンデマンド保険で補うのが賢い使い方です」(風呂内さん)
では、オンデマンド保険をおトクに使えるのはどんなシーンなのか、風呂内さんに解説してもらった。
【病気の母をコンサートに連れていくとき】
「要介護で落ち込みがちな母を元気づけるため、母の大好きな歌手のコンサートのチケットを取りました。日付は半年先。でも、1週間前に母が体調を崩して入院し、チケットも無駄になりました」
そう残念がるのは、母親を介護中のB子さん。急だったために母のチケットは売ることもできず、B子さんは1人でコンサートに参加した。
「先々の予定を立てづらい介護中や療養中、出張が多い人などは、『キャンセル保険』が付いたチケットを購入していれば、行かれなくてもチケット代が戻ってきます」(風呂内さん・以下同)
「チケットぴあ」のホームページで購入し、購入完了画面からキャンセル保険に加入できる。ただし、対象外の公演もあるので事前に確認を。
【ぬれる場所や高いところにデジカメを持っていくとき】
買ったばかりのデジタルカメラが壊れても「メーカーの1年保証があるから大丈夫」と安心している人も多いだろう。ところが、水ぬれや砂かぶり、破損などの故障は対象外というケースがほとんどなのだ。昨年11月にサービスを開始した「ワランディ・ナウ」は、発売から3年以内のデジタルカメラが壊れたときに、購入価格上限に修理費を補償してくれる。
「専用のアプリをスマホにダウンロードし、保険をかけたいカメラを登録するだけ。保険料は1日39円からで、修理してくれます」
ただし、ほかの保険に入っている場合は「携行品補償」とかぶることも。必ず事前にチェックしよう。