「竜巻は気象条件さえ揃えば発生するものです。つまり、日本でも巨大竜巻の被害は起こりうるのです!」

 

そう語るのは、気象学に詳しい帝京大学の三上岳彦教授だ。5月20日にアメリカ南部のオクラホマ州で発生した巨大竜巻は、死者24人・負傷者353人という甚大な被害をもたらした。損壊した住宅は2400棟で、被害総額は2000億円を超えるという。

 

だが、これは“対岸の火事”ではない。気象庁が発表しているデータによると、日本でも竜巻は多発しているという。さらに、過去10年でなんと29人もの死者が出ているのだ。竜巻は、積乱雲の下で発生する。また今回のアメリカのような内陸平野部で発生した場合、障害物がないため長時間に渡って発達していくという。三上教授が続ける。

 

「日本では関東平野が似た近い環境にあると言えるでしょう。そのため、茨城県では何度も大きな竜巻被害に見舞われているのです。隣の栃木県や埼玉県でも発生する可能性はあると思います」

 

昨年5月には、茨城県つくば市や栃木県を巨大竜巻が遅い、死者1名・負傷者37名の被害を出したことは記憶に新しい。日本の内陸部での竜巻のうち30%が関東平野で起きていると言われており、要注意エリアだ。

 

いっぽう、沿岸部では沖縄を中心とした離島や北海道沿岸部も危ない。2011年には鹿児島県徳之島で死者3人の被害が。さらに2006年には北海道佐呂間町で死者9人・負傷者31人という戦後最大の被害があった。この日、関東から北海道にかけて寒冷前線が通過しており、天候が不安定だったという。

 

「寒冷前線にも注意が必要です。寒冷前線は、温暖前線とぶつかると強力に潜り込もうとして暖かい空気が上空に押し上げられます。その結果、上空で積乱雲が生まれ竜巻が発生するのです」

 

よって、これらの通り道には必然的に竜巻が発生しやすいのだ。気象庁によると、日本で発生する竜巻の60%が7月から10月に集中している。また、時間帯としては15時~16時がピークになっているという。さらに近年の異常気象により竜巻の被害も拡大傾向にあるという。今後、ますます注意が必要となりそうだ。

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