「家の近所で米作りをしていた家は20軒くらいありました。でも、再開したのは10軒だけです。半分が廃業しました。米の値段だって福島県産というだけで全部下がっていますよ」

 

福島市大波地区で兼業農家を営む60代の女性は言う。2月12日、福島県商工連合会が、首都圏の消費者に対して県産食品に対するアンケート結果を発表した。「福島県の食品を買わない」と答えたのが30%にも上り、風評被害が払しょくされていないことが浮き彫りにとなった。

 

本誌は「福島県産」食品の“放射能汚染の今”を調査。震災当初、高い値が出ていた野菜はほぼ検出せず。肉類も検出はない。いっぽう果物は基準値を超えないレベル。福島県庁の農林水産部の担当者は県内の現状についてこう説明する。

 

「福島県産品の安全確保のために、福島原発から20キロ圏内を中心とする放射線量がいまだに高い地域では、昨付けの制限が行われています。特に米についてはすべて検査を行っています。多くの野菜や果物では、’12年以降、基準値を超えるような数値は出ていません。ただ、市場に出回っているものでも、風評被害により価格面で苦戦しています。福島名産のモモは震災後に全国平均価格の約半値になりました。いまだ平均価格の7〜8割ほどの価格です」

 

モモの生産量が県内2位の伊達市。市内の農産物直売所には地元で取れた野菜などが並べられていた。すべて、セシウムが検出されていない安全な野菜や果物だという。直売所にいた関係者に話を聞いた。

 

「売り上げは、震災前の半分くらいになってしまいました。昔は、福島市からもたくさんのお客さんが車できてくれましたが……」

 

原発事故から3年。福島の悲劇は続いている――。

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