「来年4月に予定されている消費税増税について、本格的な論議が始まりました。先週は、集中点検会合と呼ばれる有識者60人の意見の聞き取りが連日行われ、9月9日に発表される国内総生産(GDP)などと合わせて、最終的には、10月上旬に安倍首相が判断をするといわれています。私は給与が上がる道筋が見えるまでは、消費税は増税するべきではないと考えています」
こう語るのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。カンフル剤的政策で一時的な円高株高になったものの、食料品やガソリン代、電気料金などに加え、社会保険料も上がるなか、給料は一向に増える気配のないアベノミクス。多少のボーナスが話題になったが、毎月の給与は13カ月連続で減少している(厚生労働省の毎月勤労統計調査’13年6月分結果確報による)。
「ただでさえ家計が苦しい今、さらに消費税が上がったら「買い控え」などと悠長なことではなく、庶民はモノが買えなくなります。デフレがますます加速し、脱却など到底できないでしょう」
財務省や有識者の多くは、日本の借金が1千兆円もあるとして、経済の健全化のためには消費税やむなしという。しかし、その原因は公共投資を大盤振る舞いして借金を重ねてきたこれまでの政策にあることは明白だ。「政府は、政治のツケを国民に負わせる前に、もっと有効な成長戦略を考えるべきです」と荻原さんは憤る。
「そもそも消費税増税は『税と社会保障の一体改革』として始まりました。増税分はすべて社会保障費として使われ、サービスが充実するはずでした。ところが、庶民の負担は増える一方で、サービス内容は棚上げされたまま。高齢者には今年10月から年金の減額も決まっています。私は、庶民の生活を無視し給料が上がらないなかでの消費税増税はには、断固反対です」