現役時代に決して怠けていたわけではない。なのに、年金生活に入っていつの間にか貧困に。悠々自適は望むべくもないが“人並み”のささやかな暮らしからもこぼれてしまうなんてーー。いったいなぜ?老後破産の背景にはさまざまな問題が横たわっている。

 

老後破産につながる一つの原因に、近年急増している子どものニート、引きこもり問題がある。そんな子を持つ親が、老後になっても生活のすべてを抱え込み、破産に突き進んでいるのだ。「子どもにかけるお金を考える会」などを主宰するファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、次のように解説する。

 

「引きこもるお子さんは心の病気を抱えているケースが多く、障害年金の受給につながる可能性は高い。受診につなげるのは難しいケースも多いのですが、自宅を占拠して家の預貯金を使い尽くしてしまうケースもあります」

 

心の病いが悪化して家庭内暴力なども起こり、家族が避難するため別世帯に。長年の2世帯分の住居費と生活費で老後破産寸前のケースも。働いていない子を抱える2件に1件は該当するという。

 

畠中さんは親が持つ資産で引きこもりの子どもが生涯食べていける「サバイバルプラン」を模索・提案している。先日、こんな奇跡のプランが成立した。

 

「とてもしっかりしたシングルマザーのお母さんで、成人している複数のお子さん全員が働いていないとのこと。そのうちの2人が心の病いで障害年金を受給していました」

 

ここで畠中さんが授けたライフプランは、今後、無理に就労する道を目指さず、2人の障害年金で、きょうだい全員が仲よく暮らしていくこと。

 

「母親の所有である自宅を長く住めるように建て替え、今後支払い義務が生じる固定資産税はためた預貯金で堅実に」

 

きょうだいが団結し家事を分担すれば、生き抜いていけるプランだ。

 

「老後破産を回避するには、まず勇気を持って相談し解決のために進むこと。子どもの引きこもり対策も、がんと同じ、早期発見が大切なのです」