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「市販薬を年間1万円を超えて購入すると所得税を減らせる新しい控除を、厚生労働省と財務省が検討しています。現在は、年間10万円を超えた場合に対象となる医療費控除があります。その対象は病院代だけでなく市販薬も含むのですが、10万円のハードルが高く利用しづらいという声がありました。そこで、市販薬だけで1万円超という控除を新設して、従来の医療費控除と、お得なほうを選んで使えるようにする予定です」

 

そう語るのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。では、市販薬の控除とはどんなものなのか?現在の方針を基に、荻原さんが解説してくれた。

 

「まず、市販薬控除の対象は、薬局やドラッグストアで買った薬のうち、『治療薬』に限られます。風邪薬や胃腸薬、鎮痛剤などが含まれます。反対に、ビタミン剤やサプリメントなどは、健康促進や病気予防が目的ですから、控除対象ではありません。たとえばのどの薬でも、痛いときに使うトローチは治療薬としてこうじょされますが、うがい薬は風邪の予防薬で控除されません。ご注意ください」

 

次に、控除の開始時期。現在は検討中で、確定は国会審議を経て来年1月半ば以降になる見込みだが、実施は1月1日にさかのぼる可能性があるという。

 

「ですから、たとえ決定前でも、市販薬のレシートは年初から保存を始めてください。ドラッグストアなどのレシートは、該当する薬品名と金額を丸囲みしておきましょう。『ひとりでは1万円も使わない』という方もいるでしょうが、市販薬の購入代金は、家族での合算が可能になるかもしれません。その場合、共働きで別の健康保険組合に加入する夫婦も、単身赴任や下宿など同居していない家族も、離れて住む親に仕送りをしていても、生計が同じとみなされ、合算できます。家族みんなで、集めてみましょう」

 

最後に、もし市販薬の控除が、来年から実施されなかった場合。

 

「保存したレシートは無駄にせず、10万円を超える場合の医療費控除に目的を切り替えてください。これまでは『10万円も使わない』と思っていた方も、病院代のほかに、市販薬や病院に行くための交通費などを家族分集めると、意外と高額になるものです」

 

医療費は家計に直結する。今後の議論に注目していこう!

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