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「銀行の窓口で保険を勧められたことはありませんか。今、銀行では『外貨建て保険』の売れ行きが好調です。外貨建て保険とは、月々の保険料や受け取る保険金とその運用を、アメリカドル(以下、米ドル)やオーストラリアドルなどの外貨で行うものです。また、外貨建て保険以外では、毎月分配金が出る分配型投資信託は、『年金代わりになる』と高齢者に人気があります」

 

そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。利回りのよさが魅力的に映る「外貨建て保険」、“年金代わりになる”が売り文句の「分配型投資信託」。だが、荻原さんは「窓口での説明をうのみにするのは危険」だと言う。荻原さんがそのデメリットを解説してくれた。

 

【外貨建て保険のデメリット1】為替損の可能性がある

 

「たとえば死亡保険金が10万米ドルだとします。1ドル=110円なら10万米ドル=1,100万円ですが、1ドル=90円の円高になると900万円。為替が大きな差を生みます。もっとも得するのは、円高のときに保険料を払い、円安のときに死亡保険金を受け取ること。でも、死ぬときの為替が予想できるはずもなく、これはギャンブルでしかありません」

 

【外貨建て保険のデメリット2】手数料が高い

 

「銀行窓口で外貨建て保険に加入すると、銀行は保険会社から販売手数料6〜8%を受け取ります。銀行はマイナス金利で業績が厳しいため、今では金融商品などの手数料が収益の柱になっています。問題は、外貨建て保険の販売手数料が、ほかの金融商品より高いこと。そして、その高い販売手数料が保険料から支払われていることです。加入者は高い手数料を負担させられ、運用に回るのは、払った保険料から手数料を引いた残りの資金。資金が減った分だけ運用成績が下がり、加入者は損をしてしまいます」

 

【外貨建て保険のデメリット3】複雑でわかりにくい

 

「外貨建て保険は、外貨預金と保険を合わせたものです。外貨預金には1で述べた為替リスクが、保険には契約途中で解約すると元本割れするリスクなどがあります」

 

【分配型投資信託のデメリット】運用成績が悪いものが多い

 

「投資助言会社の三菱アセット・ブレインズによると、昨年は運用成績が悪いものが多く、分配型投信の33%が分配金を引き下げました。そのうえ、ほとんどの分配型投信が元本を取り崩して分配金を払っていて、運用益だけで分配金をまかなえているのはわずか2%というデータもあります(’16年11月・QUICK資産運用研究所)」

 

投資は利回りのよさだけでなく、手数料や運用成績にも目を向けることも大事なようだ。

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