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2019年流行語大賞に「サブスク」がノミネートされました。日経トレンディ・日経クロストレンドが発表した「2019年ヒット商品ベスト30」でも「Netfllix」が7位にランクインしています。動画配信サービスはまさに、2019年に大躍進した市場といえます。

 

とはいえ、そもそも動画サービスの違いを分かっていない人や、「入会しているけど、このままでいいのか悩んでいる」人も多いはず。2020年、動画配信サービスはどのように変わっていくのでしょうか。2大巨頭であるNetflixとAmazon Prime Videoの違いを読み解きながら、今後の変化を分析します。

 

■2019年に動画市場が躍進した理由をPEST分析

 

最初に、動画配信サービスが2019年までにここまで成長した理由を考察しましょう。マーケティング分析の手法「PEST分析」から読み解いていきます。

 

まず、政治面において。総務省は、2020年までに5Gの導入を実現するために、研究開発の支援など様々な取り組みをしてきました。次に、経済面。動画配信サービスの加入者数は年々増加し、企業規模も大きくなってきました。社会全般としても、地下鉄やカフェにWi-Fiが導入されたりと、移動中に動画を閲覧できるような環境が実現しました。技術面においては、通信環境が整備され、スマホやTVで動画配信サービスに接続しやすくなりました。これらの影響によって、市場の環境が動画配信サービスの浸透しやすい状態になっていたことがわかります。

 

 

■月額会員制のNetflix、年会費メインのAmazon Prime Video。違いはなにから生まれる?

 

続いて、NetflixとAmazon Prime Videoのサービスモデルを4P分析から読み解いていきます。

両サービスの違いを整理すると、Netflixは動画配信サービス専門の会社です。その一方でAmazon Prime VideoはAmazonという巨大プラットフォームを背景に持っています。このビジネスモデルにより、価格にも差が生まれています。

 

2019年現在では、両社の会員数を比較すると、Amazon Prime Videoは利用者509万人、Netflixは171万人とAmazonが圧勝となっています(ニールセン デジタル)。

 

■2020年、両社の価格戦略を予想。Netflixは引き上げが喫緊の課題

 

では今後、Netflix、Amazon Prime Videoの価格戦略は会員数増加のために、どのような価格戦略をとっていくのでしょうか。

 

まずNetflixの価格戦略についてです。会員数を拡大し続けてきたNetflixですが、直近は伸び率が鈍化してきているとの決算が出ています。Netflixの今後の成長戦略を考えると、「価格引き上げ」は必要になってくるでしょう。自社の強みであるオリジナルコンテンツに投資をし続け、そのコンテンツ力を付加価値として、価格を引き上げる戦略をとるのではないかと考えています。

 

前回の値上げ幅は、ベーシックプランが+150円(+123%)、スタンダードプランが+250円(+126%)となっています。次の値上げも、顧客の許容度を考えると120%~130%の範囲で行われる可能性が高いのではないでしょうか。

 

一方でAmazonは1,000億ドル超の売上規模=資金力があります。アマゾン ウェブ サービス(AWS)やアマゾンドットコム(EC)など、儲かる事業も持っています。また「顧客中心に考える」組織文化をもっていることから、急いで価格を引き上げる可能性は低いと考えられます。

 

アップルやディズニーなども参入してくる中で、動画配信サービス市場は2020年以降もさらなる変化が必須。ユーザーとしては、常にキャッチアップを続けるのがよさそうです。

 

【PROFILE】

黒澤友貴(くろさわともき)

1988年生まれ。ブランディングテクノロジー株式会社 執行役員 経営戦略室 室長。「日本全体のマーケティングリテラシーを底上げする」をミッションに2,000人近くのマーケターが集まる学習コミュニティ(マーケティングトレース)を運営。

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