新型コロナ対策で連日批判を浴びている加藤厚労相(写真:時事通信) 画像を見る

トランクを引いた外国人のカップルが東京都杉並区内にある大きなマンションに入っていった。その姿に近所に住む男性がこう語る。

 

「このマンションでは“民泊”をやっていてね。コロナ騒動からは、(出入りが)だいぶ減ったんだよ。以前は欧米系やアジア系のお客たちで大繁盛していたよ。政治家の“加藤さん”が持っているマンションらしいけど……」

 

男性が言う“加藤さん”とは大臣も歴任した故・加藤六月氏(享年79)のこと。新型コロナウイルス対策で連日、会見を開いている加藤勝信厚生労働大臣(64)の岳父にあたる人物だ。麻生太郎副総理兼財務相が“ポスト安倍”候補の1人として名前を挙げたこともある加藤厚労相。今回の騒動で顔を覚えた人も多いだろうが、全国紙の政治部デスクが次のように語る。

 

「コロナウイルスの対応では、リーダーシップも発揮できていません。『ここまで決断ができない人だったのか』と、官邸も頭を抱えています」

 

加藤厚労相は永田町では有名な“マスオさん”だという。

 

「大蔵官僚時代に、加藤六月氏に目をかけられて、加藤家に婿入りしたのです。もともとは六月氏の長女・康子さん(60)と結婚するはずだったのですが、彼女がアメリカに留学してしまったため、次女の周子さんと結婚しました。六月氏は安倍晋三首相の父・安倍晋太郎氏の側近で、夫人の睦子さん(83)と首相の母・洋子さん(91)も親友同士。安倍家と加藤家の絆は強く、勝信氏が要職を歴任しているのも、その関係ゆえと言われています。勝信氏は渋谷区内にある大きなマンションの一角で、義母・睦子さんや妻・周子さんといっしょに暮しています」

 

その渋谷区の一等地に立つマンションのほとんどを所有しているのが、睦子氏が代表取締役を務めている会社「和興産業」。そして冒頭のマンションを所有しているのも同じく和興産業なのだ。杉並区のマンションは7階建てで延べ床面積は1千400平米以上。賃貸マンションとして活用されてきたが、築40年以上ということもあるのか、2年ほど前から17室が民泊に利用されている。

 

その届け出をしたのが「株式会社 ザ・バカンス・コーポレーション」。加藤厚労相のかつての婚約者で義姉の康子氏が代表取締役を務めていた会社だ(※法人登記簿謄本上では、現在の代表取締役は康子氏の長女になっている)。政治評論家の有馬晴海さんは言う。

 

「加藤康子氏は’15年から4年間、内閣官房参与を務め、『明治日本の産業革命遺産』の世界遺産登録のための推進役としても知られています。ただ安倍首相の“お友達人事”の一環という印象は否めませんね」

 

新型コロナウイルスの封じ込めに失敗してしまった日本政府。

 

「“外国人の入国を早期に厳しく制限すべきだった”という意見は根強くあります。加藤厚労相は2月3日の衆院予算員会で『(中国湖北省以外の)ほかの地域で感染が拡大するようであれば(入国制限の)対象にする』と述べました。しかしウイルス拡散の防止のために日本からの入国者を拒むという国も増えているいっぽうで、日本の入国規制はいまだ“ゆるゆる”です。対応が後手後手という批判を受けている加藤厚労相の義母が所有しているマンションで義姉が民泊ビジネスを展開しているという事実は、違和感を覚えざるをえないですね」(前出・政治部デスク)

 

多くの中国人観光客が「ザ・バカンス・コーポレーション」のサービスを利用していたようだ。同社は海外の別荘を短期間貸すというビジネスからスタートしたが、’18年秋に出した求人広告には、スタッフの仕事内容の1つとして《当社が運営する民泊施設(西荻窪、中野、代々木上原)の外国人旅行者のチェックイン、チェックアウト業務補助》と記載されている。また“中国語ができれば尚可”というただし書きもあった。本誌が同社に取材を申し込むと担当者は次のように語った。

 

「当社の実質的な社長は加藤康子です。マンションの部屋をリースして、民泊経営をしているのは事実です。マンションを所有している会社の社長? ……それは把握していません。義姉が経営している会社ではありますが、加藤厚労相とは一切関係はありません。だから、この会社の利益が大臣に還流されているということはありませんし、会社の年間の売り上げも数千万円規模ですから、利益も知れています。ただコロナショックで、売り上げも大打撃を受けているのは間違いありません」

 

加藤厚労相が直接関与しているわけではないというが、政治評論家の小沢遼子さんはこう語る。

 

「加藤厚労相は、官僚の用意した文面を読み上げるばかりで、“コロナとどう闘っていくのか”という主張が伝わってきません。家族が民泊を経営しているというのであれば、中国人観光客を減らさないために汲々としているのだろうと、批判されても仕方がないと思います」

 

「女性自身」2020年3月17日号 掲載

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