発症者の約20%が重症化するといわれている新型コロナウイルス。そんな重症化リスクに大きな影響を与えているのが高血圧などといった基礎疾患の有無だ。CDC(アメリカ疾病対策センター)が4月に発表したレポートで、集中治療室に入った重症患者のうちで糖尿病を併発していた率が高かったことが明らかになったのだ。
しかし、リスクを上昇させる“危険因子”はほかにもあった。不整脈の要因となる疾患もその一つ。さいとう内科・循環器クリニックの斎藤幹院長は、こう語る。
「一般論として、心臓の病気がある人はコロナ肺炎を起こせば症状が悪化しやすいと思います。肺と心臓は密接な関係にあります。肺炎になると肺が酸素を取り込めなくなります。いつも以上に全身に酸素を送り込もうとするのですが、心臓がその負担に耐えられなくなるのです」
全国に約45万人といわれている抗がん剤で治療中の患者もリスクにさらされている。抗がん剤治療によって、免疫機能をつかさどる白血球が減少するためだ。相良病院の柏葉匡寛医師は、がん治療現場の実態を明かす。
「現在、患者さんにとって免疫抑制につながる治療は極力引き延ばすという状況がよく見られます。進行しているがんの手術に関しては実施することになるでしょうが、化学療法については慎重に観察する状態になってきています」
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)当事者で卵巣がん治療中の太宰牧子さんは4月2日に6回目の抗がん剤治療を終えたばかり。不安な日々を過ごしている。
「治療中や投与してから2週間ほどは、白血球の数値が減少し、感染症予防を十分にする必要があります。しかし、そんな状態でも抗がん剤治療中は病院に行かなくてはなりません。“自分も感染しているかもしれない”という不安を抱きながら、常に体を清潔に保ちました。どこかに触れることも心配になり、買ったものもすべて消毒していました」
重症化リスクを抱えるまた別の疾患は、30~50代の女性で発症者が多いとされる関節リウマチだ。そしがや大蔵クリニックの中山久德院長はこう語る。
「関節リウマチは正常な免疫機能を抑えてしまうこともある病気なので、感染力の強い病気には気をつけるよう呼び掛けています。感染しないために免疫抑制剤を使いたくないという患者さんもいますが、早期の治療が大切なので『必ず薬は飲んでください』と伝えています。そもそも関節リウマチは全身症状のある病気で、関節の次に症状が出るのが肺炎なんです。肺にダメージを与えるコロナウイルスは二重にリスクを高めることに。私たちもお薬を多めに出して極力外出が少なくなるようにしています」
重症化リスクの高い持病がある方は、より一層の警戒を――。
「女性自身」2020年5月5日号 掲載