政府は各地で外出自粛を呼び掛けている(写真:時事通信) 画像を見る

「なんとしても8割の接触機会の低減を実現するべく、感染拡大防止に向けた取り組みを徹底したい」

 

ゴールデンウイークを前にした4月23日の会見で、安倍晋三首相(65)は国民にさらなる外出自粛の徹底を求めた。

 

しかし「外出8割減では不十分な地域がある」と警鐘を鳴らすのは、横浜市立大学教授の佐藤彰洋氏。エボラ出血熱の感染シミュレーションなどの研究実績も持つ、データサイエンスの専門家だ。

 

佐藤教授は自身のウェブページ「COVID-19情報共有」で、都道府県別の感染拡大シミュレーションを公開している。

 

「地域や時期によって、人と人が接触する頻度をどれだけ減らせばよいかは異なります。感染拡大の深刻さは、地域や時期、人口密度の違いにより、異なるためです」

 

佐藤教授はシミュレーションに基づき、都道府県ごとの「1週間あたりの外出可能時間見積もり」を算出している。「外出可能時間」が短い地域ほど、感染急増を警戒する必要があるということになる。

 

【図解】都道府県別 1週間あたりの外出可能時間マップ

 

「たとえば大阪府であれば、1週間あたりの外出時間を92%減の443.5分まで減少させれば、感染の連鎖を止められると試算されます。注意していただきたいのは、この時間内であれば好きに外出していいわけではないということです。人と直接接触することがなくても、不特定多数の人が使うモノや場所にはウイルスが付着している可能性があります。ご自身とご家族が感染を避けられるよう、目安の時間の範囲内で外出時間はできるだけ少なくなるように心がけてください」

 

ちなみに平常時の8割減ならば、1週間あたりの外出可能時間は1,108分(総務省の統計より、平常時における1日の平均外出時間を13.2時間として算出)。1日あたり150分あまりだが、佐藤教授の試算では、東京都や千葉県、大阪府、兵庫県など、いくつかの県では8割減よりさらに厳しい目標をクリアする必要があるという。

 

「警戒すべき地域は首都圏や京阪神だけではありません。北海道や富山県、石川県、愛知県、奈良県、沖縄県なども、対策が必要です」

 

1週間あたりの「外出可能時間」は富山県は443分、奈良県は55分、沖縄県は554分、北海道にいたっては27.7分となっている(4月24日時点での試算)。

 

なぜ、地方でもこれほどまでに感染が拡大しているのか――。北海道は2月28日、全国に先駆けて独自の「緊急事態宣言」を宣言し、新規感染者数は急減していた。しかし、4月に入り再び感染が拡大。感染者数は累計で600人を超えている。

 

北海道の“第2波”は、帰省や“コロナ疎開”が引き金になったという見方もある。同じく沖縄県でも、4月上旬から感染者が急増している。地域保健課の新型コロナ対策担当者もこう語る。

 

「3月後半の春休みに、県外からの帰省や、都会からの“避難”で沖縄に来た方から感染が広がっています。沖縄でもクラスターが発生してしまいました。もはや、沖縄は“避難場所”になりません。どうか来県はお控えください」

 

富山県では医療機関や介護施設などで次々とクラスターが発生。さらに富山市の小学校では児童4人、教諭1人が感染。4月上旬に登校を再開するなど、警戒に緩みがあったとの見方もある。

 

奈良県は、大阪府から1~2週間ほど遅れて感染者数が増加し始めた。奈良県医師会の安東範明副会長は、奈良県が大阪のベッドタウンであったことが一因だったと語る。

 

「大阪の職場で感染した人が奈良県に持ち込んだ事例が多くありました。奈良県では、まだクラスターは発生していません。感染経路がわからない市中感染が大半です。患者さんが無自覚に感染を広げることを防ぐためにも、もっと検査数を増やさなければなりません。そのため奈良県ではドライブスルーのPCR検査も開始しました」

 

厳しい試算を発表している佐藤教授だが、対策を徹底すれば収束への希望はあるという。

 

「たとえば福岡県や京都府、岐阜県、福井県などは、一時期よりも改善傾向がみられています。『3密を避ける』では不十分です。とにかく外出せず『人と会わない』。これを2週間、徹底的に実践すれば5月中旬にはかなり収束に近づくでしょう」

 

GWをコロナ収束への第一歩にできるか否かは、一人ひとりの行動に懸かっている――。

 

「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載

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