都内のドラッグストアでは未だ軒並み完売状態。 画像を見る

日本国内でのマスクの品薄状態はいまだ続いており、《マスクの在庫はありません》《本日のマスクの入荷の予定はありません》《一家族につき1個まで》といった張り紙をしている薬局も多い。それは大都市ばかりではない。安倍首相の地元・山口県内に住む30代の主婦はこう嘆く。

 

「よくチェックしているドラッグストアは日曜日に入荷がないようで、月火に連日トライしてみたことがあります。4月14日(火)には入荷がありましたが、朝10時開店なのに2時間半前から並び、ようやく購入できたのは7枚組みで200円ちょっとの品でした。駐車場料金が400円でマスクより高くついたのが、何だかなぁ、という感じでしたね」

 

品薄状態が始まってすでに3カ月。日本のメーカーも増産のために力を注いでいるという。衛生用品の大手メーカーであるユニ・チャームの広報担当者は次にように語る。

 

「1月中旬ぐらいから24時間体制に切り替え、以前と比べると現在の生産量は2倍ほどになっています。週に2,500万枚、月で1億枚ほどです。ただ医療現場もひっ迫していますので、一般家庭よりも医療用を若干多く生産している状態です。弊社は90%以上が国内での生産です。ですが以前は国内に流通しているマスクの7割が中国などから入っていました。それらが入ってこなくなったことが品薄の大きな原因の1つだと思います」

 

着実に国内での生産数も増えているはずなのに、“購入できる人”と“購入できない人”の差ができるのはなぜなのだろうか? また“3密”を防ぐためには行列に並ぶのもぜひ避けたいところ。そこで本誌は“並ばずに買えた人たち”の声を集めてみた。

 

「4月20日、雨の降る月曜日の午後でした。こんな日なら買い物客が少ないのではと、スーパーに行ってみたら、アイリスオーヤマの7枚入りのマスク(400円ほど)が並んでいたのです。またその直後、そこから300メートルほどの距離にあるチェーン系のドラッグストアを通りかかったところ、中国製のマスクが60枚入り900円で販売していました。そのお店も雨のせいで、お客さんが少なかったですね」(東京都豊島区在住・40代主婦)

 

「4月12日(日)14時ごろです。頭痛がひどく、薬局を訪れたところ、5枚入り500円ほどで中国製のマスクが売っていました。その店は駅からも近いのですが、繁華街とは逆方向で、休日になると付近の人通りも減るのです。3週間ほど前にも同じ店で10枚入り700円くらいの女性用サイズのマスクを購入しました」(東京都新宿区在住・30代会社員女性)

 

これらは取材の一部だが、購入した時間帯で多かったのは、『昼過ぎ』もしくは『夕方』という回答が多かった。また『別の日にも同じ店で販売しているのを見つけた』『平日はにぎやかな地域なのに、休日で人出が少なかった』という答えも多いようだった。

 

株式会社リサーチ・アンド・イノベーションの調査によれば、3月には半数以上の人が朝に購入していたが、4月には午後や夕方と回答した人の割合が増えていた。この理由について、ドラッグストアをチェーン展開するココカラファインの担当者はこう語る。

 

「4月中旬ごろより、開店前から長時間お並びいただいているお客さまの健康と安全確保の観点から、一部店舗をのぞき、開店時のマスク販売を中止しています」

 

また北陸地方でチェーン展開しているドラッグストアの店員もこんな事情を明かした。

 

「3月までは朝早く入荷したものを、オープンと同時に品出ししていました。すると開店前から100人ほどもお客さまが並ぶようになり、パニック状態に……。そこで苦肉の策として、お客さまがあまりいないときに、店頭に並べるようになったのです。いまでは本部の指示もあり『入荷があっても開店時には販売しません』と、張り紙もしています。いつ販売するのかはお店によって違うと思いますが、“ある程度お客さまの入りが落ち着いている時間帯”を選んでいる店も多いと思います」

 

この店では在庫があっても安定した供給を続けるために、1日に販売する個数を決めているという。購入者たちの「同じ店で見つける」という声は、そうした店の方針のせいでもあるのだろう。

 

「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載

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