「短期の記憶を忘れてしまう認知症患者は、新型コロナのこと自体を認識できないこともありえます。隔離されれば監獄に入れられていると錯覚を起こすかもしれません。これは認知症を悪化させます。
認知症がひどくなると、短期の記憶が覚えられなくなります。繰り返し同じことを話したり、アルツハイマーの人なら怒りっぽくなったり、脳梗塞が原因の人なら鬱っぽく無気力になるなど、症状もさまざまです。幼児返りをすることもあります。閉鎖空間のストレスにより、感覚が失われ幼児返りをしてしまうのです。善悪の区別がつかなくなったりもします。
これはコロナ感染者だけにいえることではなく、長い自粛生活で人に会わなくなった認知症の人も同じです」
では、認知症を悪化させないためには、どうすればいいのだろう。
「デイサービスの利用を再開したり、外に出て何かアクティビティをして、以前の生活を取り戻すようにしてください。当院では、旅館の映像を見せて疑似旅行体験をしてもらったり、タブレットでオンライン会話することなどを勧めています。
認知症によっては、改善するものも改善しないものもあります。ただ、一度悪化しても人と会うようにすれば、たとえば脳梗塞によるような認知症でしたら、よくなることもあります。改善しないにしても、しゃべらなくなってしまった方が人と接することで明るくなったということも。ですから、工夫してなるべく人と接する機会を作るようにしてください」
未知のことが多い新型コロナウイルス。全国的に自粛解除が緩和されているとはいえ、報告されている後遺症からは、慎重な日常が求められていることは明白だ。
「女性自身」2020年6月23・30日合併号 掲載
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