研究者たちが「伝説的」と語り継ぐのが、2016年に「Word罫線問題」をあっという間に解決した対応だ。
当時、行革担当大臣だった河野氏がツイッターで競争的資金について意見を募集したところ、ある研究者が「科研費申請書のWord罫線が研究者の時間を奪っている」と指摘した。
「文科省が指定していたワードの様式がものすごく使いにくかったんです。記入欄の周りを四角く囲った『枠』があり、図などを挿入するたびに罫線がズレるんです……。何か記入する度に様式が崩れては修正を繰り返すという無駄で面倒な作業をずっと強いられてきました。科研費が”当たる”かどうかは、研究者にとって天国と地獄の分かれ道となる死活問題なので、みんな2週間から1ヶ月はかけて必死で作成します。しかし、以前のワードの仕様は明らかな欠陥。研究者の本来の研究の時間と心の健康をかなり奪っていたと思います」(前出の研究者)
「Word罫線問題」を知った河野氏は、ツイッターで次のようように質問。
《このワードの設定とか罫線とかの話、詳しく教えてください。文科省はシステムの次期更新まで改善できないと言ってますが、ホント?》
前出の研究者は次のように話す。
「ワードの書式の問題なのに、システムを変更しないとできないってどんなシステムですか(笑)。システムと書式はもちろん別問題です。疑問を呈した研究者に、『罫線などを揃えることで熱意が伝わる』と言い放った役人もいたそうですが、明らかに文科省のやる気の問題です」
実際、河野氏は文科省が「できない」と言った、たった6日後に「科研費の申請書の罫線は次回申請から廃止することに決まりました」とツイートし、あっという間に解決してしまったのだ。
その後も、SNSで意見を吸い上げ、翌17年にはさらに研究費申請書類にかかる時間の無駄をさらに大きく削減した。
「ものすごいページ数を割いて一から作らなければいけなかった共同研究者の業績や経歴欄を、研究者のデータベースを有効利用して、研究者ナンバーをシステムに入力するだけで申請できるように変えてくれたんです。1つの研究費申請書で70ページに及ぶこともあり、作成に200時間以上かかることもザラですが、これでかなり楽になりました」(前出の研究者)
今回の改革で研究者たちは大絶賛。
《河野さん、ありがとうございます!》
《助かります!研究に少しは集中できます!》
《3年前に言ってくれてたら研究続けてた》
《Mr.Kono, Good job! You are a kind of new type of politician whose Japan really needs for brighter future!!(河野さん、よくやってくれた! 河野さんは、日本の明るい未来のために必要な新しいタイプの政治家です!!)》
《マジで総理になってください》
「これまでの河野さんの改革は、本来の研究に割ける時間が増えただけではなく、若手の安定的な雇用にもつながります。一研究者のためにとどまらず、自由な研究環境があってこそ未来の国益に繋がります。知性を軽んじている現政権の中では珍しく、河野さんは研究の意味と重要性を真に理解していると思います。目立たないところで現場の声に耳を傾け、スピーディーに対応している功績は評価されるべきだし、河野さんに総理大臣になってほしいと思ってる研究者は少なくありません」(前出の研究者)
河野氏は、「ハンコ廃止」だけじゃなく、ツイッターでフォローワーの恋愛相談に乗ったり、自らをイケメンと称したり、型破りなところが人気の一因だが、実はすごく良い仕事をしている。(河野大臣、この記事ツイートしてくれないかな)