■“緊急事態”という言葉の意味が形骸化していく
そもそも専門家の間では緊急事態宣言の効果を疑問視する声も上がっていた。毎日新聞によると今年4月3日、政府の基本的対処方針等諮問委員会の会合で専門家から「ほぼ意味はない」との発言が。宣言の限界を指摘されたものの、政府は「効果はあった」と反論したという。
「緊急事態宣言が行われる基準も曖昧で、結果的にどのような効果があったかも不明瞭。ですから、“とりあえず発令しよう”という風に見えてしまいます。また政府はワクチンを接種すれば感染拡大も落ち着くだろうと考えているようでした。しかし、変異ウイルスが発生。医療現場ではその感染スピードに危機感を募らせています」(前出・全国紙記者)
いっぽうで今回の緊急事態宣言の期間中、東京五輪は開催される。しかし、すでに訪日した選手から陽性者もでている。
「菅義偉首相(72)のメッセージは『安心安全のために全力で』など抽象的で似たものばかり。さらに会見では、安倍晋三元首相(66)同様に記者の質問が限られています。そういう所作を繰り返すたびに国民は疑念を抱き、緊急事態という言葉の意味が形骸化していっているともいえるでしょう」(前出・全国紙記者)
日刊スポーツによると田村憲久厚生労働大臣(56)は今月2日、4度目の緊急事態宣言について「効果がなければ、次に打つ手は、もうそれよりきつい手はない」と話していたという。迷走からの“手詰まり”でないことを祈るばかりだ――。
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