自民党総裁選日本記者クラブ主催の公開討論会(代表撮影:ロイター/写真:アフロ) 画像を見る

「最低保障は税金でやる」

 

9月18日、自民党総裁選の公開討論会でこう述べたのは河野太郎行政改革担当大臣(58)。

 

総裁選に立候補する河野氏は、年金制度改革の必要性を訴え、消費税を財源とした最低保障年金制度の創設を唱える。

 

これに対して、対立候補となる岸田文雄前政調会長(64)、高市早苗前総務相(60)、野田聖子幹事長代行(61)は否定的な考えを示す。制度の導入が消費税の増税につながるためだ。

 

「もし河野さんが提唱する『最低保障年金』を導入するなら、消費税を現状より6%は上げる必要があります」

 

こう話すのは“年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾さん。

 

「現在の年金制度では、国民年金は保険料を払った期間に応じて受給額が決まります。20~60歳になるまでの40年間保険料を支払えば、満額の月6万5千75円を受け取れるのです」

 

しかし、少子高齢化に突き進む日本で、年金の受給額は将来的に大きく減る見通しとなっている。また、低年金・無年金となる高齢者が増えることで、生活保護受給者の増加も懸念されている。

 

「その対策として河野氏が提案するのが最低保障年金です。現行の制度と異なり、保険料を支払った期間にかかわらず全加入者が一定額を受給できるのが、最低保障年金の基本的な考え方。

 

河野氏の場合はこの財源を税金で、と考えているため、保険料を納める必要はなくなります」

 

しかし、その分を消費税で賄わなければならない。

 

現在、国民年金の給付総額は約23兆円で、そのうち約半分が国民年金の保険料収入で賄われている。

 

「消費税を上げると1%で2兆~2.5兆円の税収増となります。保険料収入の分を消費税で賄おうとすると、6%程度の消費税アップが必要です。

 

最低保障年金の場合、現在無年金・低年金の人にも払うことになりますから、増税はそれ以上になる可能性もあります」

 

現在の消費税は10%。そこから6%の増税となれば、消費税は“16%”となる。

 

「当然、増税には大きな反発が起こるでしょう。

 

しかも何十年と真面目に年金保険料を納付し続けている人にしてみれば『いままで積み立ててきた分はどうなるの?』という不満も出てきます」

 

もとよりコロナ不況で国内経済は滞り、消費も鈍っている。

 

「そのうえ増税となれば、さらに買い控えの傾向は進みます。コロナ後の経済回復など到底見込めなくなるでしょう」

 

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