■「傘下の看護学校もつぎつぎ閉鎖して」
だが、本誌が取材を進めると、人手不足は慢性的かつ“意図的”なものだったという声が出てきた。前出のAさんはこう語る。
「4月に内科医がゼロになった後も、『(足りているから)大丈夫』といって、新たな医師を入れようともしませんでした。看護師の求人は出していますが、形だけ。実際には、看護師が辞めるなどして欠員が出ないと、いくら手が足りず、現場が疲弊していても、採用してくれません」
JCHO労働組合の書記長の大島賢さんは、「人手不足は関連病院全体に広がっていた」と語る。その裏には、「極端に黒字化を目指す幹部の指示がある」という。
「JCHOの幹部のほとんどが、厚労省や国立病院からの天下りで、赤字を出さないことを至上命題として人件費を削り続けてきました。全体で職員の上限数を決め、コロナ病床を回すために人手が必要になっても、新たに雇わずコロナを診ていない病院や病棟から補充しろ、と。でも、ふだんからギリギリの人数で回しているので、引き抜かれた側の病院スタッフは、休みもろくにとれなくなる」
そのうえ、不採算部門をどんどん切り捨てているという。
「JCHOは6つの看護学校を経営していますが、うち2つは今年度で廃止が決定。卒業生の多くはJCHOの病院に就職するので、看護師確保も難しくなります。しかし医療費と病床削減は国の方針でもあるので、JCHOは病床を減らして対応するようです。JCHOは感染症や周産期、救急など“不採算部門”を診る役割を担った公的病院です。『もうからないから削ります』は、許されないのですが……」(大島さん)
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