【Q2】ワクチン接種済みでも感染してしまう?
「ワクチンを2回接種した人でも、多くの人がオミクロン株に感染しています。デルタ株のときと比べて、ワクチンの免疫効果が大幅に下がっていることがわかっているのです」(小川先生)
北里大学の片山和彦教授らの報告によると、ワクチン2回接種の3カ月後には、オミクロン株の血中中和抗体の値はデルタ株と比べて、ファイザー製ワクチンで平均72%減、モデルナ製で平均82%減と、大幅に低下しているという。
「これほど大きく低下しているとなると、よりブレークスルー感染が起きやすくなることが考えられます。高齢者以外の2回接種が完了した人も、ブースター接種(3回目の接種)が大事になってくるでしょう」(小川先生)
【Q3】重症化に注意が必要なのはどんな人?
「やはり基礎疾患(がんや糖尿病、心疾患、肥満、呼吸器不全など)のある人やお年寄りは、コロナの重症化のほか、二次感染、持病の悪化や別の病気の誘発などに注意が必要です。ウイルスに感染した箇所は傷つきますし、そこから入ったばい菌が肺炎や蓄膿症などを起こすリスクもあります。特に高齢者の場合、感染により食欲が減って、水分摂取が不足するだけで腎臓に大きく負担がかかって腎不全を起こす可能性があります。同様に、発熱などで心臓に負担がかかれば心不全の恐れがあり、ぜんそくのある人はぜんそく発作を誘発することも。このように持病が悪化したり、それによって死亡することも十分考えられるんです」(岡先生)
感染力の強いオミクロン株の場合、特に自分だけでなく周囲の人に、重症化リスクのある人がいないかも確認しておく必要がある。
「病院や介護施設などにご家族が入院している方は、うつしてしまわないように細心の注意をはらってください」(小川先生)
【Q4】どのように対策をすればいいの?
「1人の感染者から最大50人が感染するというオミクロン株。かからないに越したことはありませんが、もし感染してもワクチンの3回目接種を受けていれば、重症化リスクを約90%下げることができます」(岡先生)
小川先生は「怖がりすぎず対策を立てるべきです」とアドバイスをくれた。
「通常の社会生活、経済を回しながらでいいですから、これまでどおりの対策を続けるのが肝心。手洗い、うがい、鼻まで覆ってマスク着用、3密を回避、接種可能なタイミングでの3回目のワクチン接種と粛々と続けていきましょう」 後編では、治療薬やオミクロン株収束の予測についてのQ&Aを紹介しています。そちらも併せてご覧ください。
【PROFILE】
小川恭弘先生
高知総合リハビリテーション病院院長で感染制御ドクター。著書に『免疫療法を超えるがん治療革命』(光文社)など
岡秀昭先生
埼玉医科大学総合医療センター・総合診療内科・感染症科教授。著書に『感染症プラチナマニュアル』(メディカルサイエンスインターナショナル)など