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「これは新型コロナウイルスの正しい感染対策がとれるかどうかという問題です。このままでは無用な感染拡大が続きかねません」

 

東北大学大学院理学研究科の本堂毅准教授は本誌の取材にそう語った。

 

感染力の高いオミクロン株の流行により、今月5日には全国で確認された新規感染者数は過去初めて10万人を超えた。

 

そんななか、2月1日、本堂准教授を筆頭に感染症や物理学などを専門とする医師や科学者8人が、国立感染症研究所(以下、感染研)へ対して、公開質問状を出した。

 

その内容は、感染研の文書の内容が、世界保健機関(WHO)やアメリカ疾病対策センター(CDC)などの世界の見解と違うということを指摘し、その違いについて感染研の見解を求めるものだ。

 

感染研といえば、所長の脇田隆字氏が厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの座長を務めるなど国の感染対策の重要な役割を担っている。

 

「感染研の報告は、政府や自治体のコロナ対策の基礎資料となります。感染研の報告書に不正確な点があれば、これに基づいて日本中の施設や飲食店、さらには家庭などでなされている対策までも、間違ったものになってしまうことがありえるのです」(本堂准教授)

 

本堂准教授らが問題視している報告書とは、感染研が1月に公表したオミクロン株に対する第6報。

 

「その報告書については政府の(新型コロナウイルス感染症対策)分科会でも意見が割れました。分科会のこれまでの提言とは合致するのですが、“まだこんなことを書いているのか”と怒る専門家が出てきたのです」(政府関係者)

 

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