都議会で検討される「公立病院の“民営化”」患者の負担増の懸念
画像を見る 公立病院の独法化や統廃合が進む背景に、政府による“医療費抑制策”がある

 

■“民営化”の先にあるのは金持ち優先医療

 

税金の投入が減るのはいいことに思えるが……。

 

「被害を受けるのは患者さん自身」と指摘するのは、東京都庁職員労働組合病院支部の書記長で、都立駒込病院の看護師としてコロナ対応にあたる大利英昭さん。

 

「’09年にいち早く独法化された東京都健康長寿医療センター(板橋区)では、患者さんの負担が増えました。都立病院にはない個室の入院保証金を10万円も徴収。1日最高で差額ベッド代が2万6,000円する病室もあるのです」

 

’09年当時、約10億4,000万円あった都からの同院への補助金は、’18年には約1,280万円にまで減らされている。

 

患者の金銭的負担が増えるだけではなく、受けられる医療の質まで落ちることが懸念されるという。

 

「独法化すると、過度に採算が重視されるため人件費も削減されていきます。その結果、看護師の離職率が高まってスキルが身につく前に辞めてしまうのです」

 

日本の公的医療を「金持ち優先」にさせないために、まずは都議会の議論を注視せねばならない。

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