ウクライナを脱出しても渡航費の確保に困難…避難留学生を日本語学校が受け入れ中
画像を見る 清風情報工科学院の平岡憲人校長

 

■母国を離れる娘と送り出す母親たちの葛藤

 

支援会では3月下旬からオンライン会議システムを使って、日本への留学を希望するウクライナ人学生への面接を始めている。

 

「3月中だけで、この留学プログラムに参加したいというウクライナの学生6人と面接をしました。現在、ウクライナでは18歳~60歳の男性は出国できません。国外に避難できるのは女性だけですから、今回のプログラムに応募された学生は女性のみです」

 

平岡さんたちが面接した学生たちはみな、支援会のホームページやSNSでの告知を見つけて直接応募してきた。

 

「ウクライナ東部に位置するドニプロに住む大学生は、両親がインスタグラムでこのプログラムを見つけて応募されました。もともと日本語を専攻していて、現地で日本語教師もやっていた経験があった学生です。

 

彼女は、両親と弟の4人家族。一緒に日本へ避難しようと両親を誘ったのですが、『ウクライナを守るために残る。あなたは、まだ若いんだから日本に避難して勉強を続けなさい』と言われたそうです。

 

また、原発がロシア軍によって攻撃されたザポリージャに住んでいた別の学生も、一緒に避難しようと母親を誘ったそうです。しかし、『私は国に残って家を守っておくから』と言われたと。彼女は、『たとえ日本に避難できても、親をウクライナに残してひとりだけ避難してよかったのか、毎日苛まれるかもしれない…』と葛藤していました」

 

今回用意される留学プログラムには、家族での避難にも対応できるように用意している学校もあるというがーー。

 

「受け入れ側の日本語学校のなかには、“家族で避難してきても受け入れる”という学校もあります。しかし先の学生のように、避難してくる娘や、国に残る親の両方が悩み抜いて決断を下しています。最終的にその学生は日本行きを決断したのですが、避難する娘、ウクライナに残る母親の両方が、胸が張り裂けるような思いをしているのです」

 

留学生の第一陣は、4月11日の入学式に間に合うよう来日できた学生もいる。

 

「最初10校ほどで、20人を第一期生として4月中に受け入れられるように調整が進んでいます。その後は5月末までに、100人~150人を協力校に割り振って受け入れられるようにしたいですね。

 

日本に住んでいるウクライナ人の方にも、このプロジェクトに協力していただく予定です。参加している日本語学校を回ってもらって、留学生とウクライナ語での話し相手や相談相手になってもらうのです。学校では笑顔でいても、実際には故郷が爆撃を受けている状態が続いていれば、とても心中穏やかにはいられないでしょうから……」

 

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出典元:

WEB女性自身

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