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電気料金は’21年9月ごろから上がり始め、’22年5月は月8,505円と過去5年間でもっとも高い水準だ(東京電力、平均モデル家庭)。ガス代も高騰しているので、光熱費の上昇が家計を直撃しているが、また新たな問題が浮上してきているという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■電気料金が上がった場合も乗り換えの検討を

 

’16年の電力自由化に伴い新規参入した「新電力」の倒産や事業撤退が相次いでいるのです。エルピオやウエスト電力が4月末日で電力供給を停止すると発表したほか、新電力の’21年度倒産は14件で過去最多。事業撤退や新規申し込みの停止を含めると、31社にのぼります(帝国データバンク)。

 

事業撤退に追い込まれた新電力の多くは自前の発電所を持たず、卸売市場から電力を調達して、電力供給を行っていました。卸電力市場の価格は’20年12月以降値上がりし、昨今のウクライナ侵攻や福島県沖地震による火力発電所の停止などによりさらに高騰。日本卸電力取引所のもっとも一般的な価格のスポット価格は26.3円と前年同期の4倍を超えました(’22年3月・日本卸電力取引所)。既存の大手電力より電気代の安さを売りに集客してきた新電力は、電気料金を多少値上げしても赤字経営になり、倒産に至ったのでしょう。

 

新電力と契約中の方は心配だと思いますが、たとえ契約先の電力会社が事業を停止しても、すぐに電気が止まることはありません。一定期間は大手電力から電気は届きますので、ひとまずはご安心を。

 

しかし、契約先が事業停止になる場合は、事前に郵送やメールで通知が来ますので、新たな契約先を急いで探さねばなりません。

 

「エネチェンジ」など電気料金の比較サイトを利用すれば、ネット上で新規契約まで申し込めます。今の契約先の解約手続きはいりませんから、手続き自体は簡単です。ただ、新規申し込みを停止している新電力が多いので、ご注意を。

 

また、毎月の電気料金に無関心な方は少ないと思いますが、ふだんよりきちんと把握してください。事業停止などに至らなくても値上がりがひどい場合は電力会社の変更を検討しましょう。

 

最近は、料金面でも大手電力のほうが割安な場合もあります。というのも、大手電力は石油等について10年、20年といった長期契約を結んでいるため、直近の影響を抑えることができるからです。大手電力に戻るのも一手でしょう。

 

世界中が燃料不足に陥り、燃料費が高騰。加えて日本は燃料を輸入に頼るため、円安の影響を受けてさらに割高になっています。これから夏に向かっても電気料金の高騰は続くでしょう。しかも小麦など穀物の値上げも続き、給料や年金が上がらない私たちの家計は苦しくなるばかりです。

 

こうした国民の困窮に政府が無関心で、何の策もないことに憤りを覚えていましたが、岸田首相はやっと「4月中に物価高騰対策を取りまとめる」と発言。今後の手腕に注目したいと思います。

 

【PROFILE】

荻原博子

身近な視点からお金について解説してくれる経済ジャーナリスト。著書に『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)、『50代で決める!最強の「お金」戦略』(NHK出版)などがある

経済ジャーナリスト

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