作家・江上剛語る「日本の生産性の低さは労働者ではなく、大企業の経営者のせいだ」
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■イノベーションよりも先にリストラを考える

 

日本の場合、生産性の向上のために、大企業の経営者が最初に考えるのは、人件費の削減を中心とした“コストカット”のようだ。それは下請けだけではなく、自社の社員も例外ではない。

 

「多くの大企業では、多額の退職金を用意して、アラフィフ世代に早期退職を迫っていますよね。多くの“ダメな経営者”は、従業員を活用して新しいサービスや商品などの価値を生み出そうともせず、従業員を『コスト』だと考えているのです」

 

今年だけでも、富士通やJT、アステラス製薬などの大企業が早期希望退職を募っている。一方で、早期退職したベテランの技術者が中国や韓国などの外資系のライバル企業に就職して活躍し、以前いた企業を脅かしているような例も少なくはない。

 

「本来、従業員は『プロフィット(利益)』なはずです。イノベーションも、新しい価値も生み出さないダメな経営者が、従業員を活かさずに、自分のダメさ加減を従業員に責任転嫁しているんです」

 

なんで、大企業の経営者という、日本の経済を背負って立つような人たちが、みんな才能を発揮せずに“ダメ経営者”となってしまうのか? それには、構造的は背景があるという。

 

「多くの老舗大企業では、みんな同じような大学を出て、入社して同じ環境で暮らし、40代で管理職がついて、50代で取締役や経営者になる。そこですっかり同質化してしまうんですね。つまり、その時点で『誰が社長をやろうが同じ結果が出る』ことが決まっているんです」

 

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出典元:

WEB女性自身

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