■毒性は何百年たっても分解されない
過去には、令和2年7月豪雨で、熊本県芦北町にある除草剤の埋設地から約1キロ先で土砂崩れが発生した。河川への流出が懸念されるが……。
「埋設されている場所にもよりますが、安定した場所を選んで埋設しているはず。多少の水害では、流出してダムや河川に入り込むことはないでしょう。しかし、誰かが埋設物を持ち出して散布するテロ行為を起こすリスクはあります」(中地さん・以下同)
現在は埋設場所の周辺にはフェンスが張られ、林野庁が年に2回ほど目視点検するなどしているという。しかし、埋まっているのは人気のない林の中。その気になれば、掘り出すことは可能だろう。
近年の豪雨による災害の多発を受けて、林野庁は埋設から50年の時を経た昨年度、ようやく「自治体の要望があれば、掘り起こして撤去する」と、調査を開始した。
さらに中地さんは「将来世代にツケを残すべきではない」と主張する。
「ダイオキシンは何百年たっても分解されません。将来、そこに除草剤があると知らずに掘り起こしてしまい、埋まっていたダイオキシンが流出する可能性はあるでしょう。ダイオキシンを無害化する処理方法は確立しているのですから、できるだけ早く行うべきなのです」
しかし、林野庁は今年度になっても「昨年度に引き続き、今年度も調査を続けて、ダイオキシンの濃度に応じて処理方法を検討していきたい」と悠長だ。
昨年の熱海のように山ごと流されるような激甚災害が埋設場所付近で発生しないとも限らない。一日も早い撤去が望まれる。
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