■ドタキャンは“有意義な意見交換会にするため”
5月25日当日。親の会は急きょ内容を変えて、オンライン記者会見を開くことに。中西さんは「当事者のことを考えていないんですよ、この制度って。産科医を守る制度だから。そして、今も考えられていない。今回のドタキャン騒動も含めて、そう思いました」と涙ながらに語り、怒りと悔しさを滲ませていた。
また親の会のメンバー・永島祥子さんも会見で、こう語った。
「なるべくメディアの方に話を聞いてもらうために、重心児(重症心身障害児)の子どもを抱えながら緊急対応に追われ、学校行事への参加を諦めざるを得ませんでした。電話をし続けて、リリースを流し続けていました。
でも、ドタキャンすると簡単に言われて……。そのあとは、子供の授業参観にもいかず、延期のプレスリリースを流していたんですよ。『ほんとに軽く見られているんだな』と思いましたね。すごく残念な気持ちです」
厚労省は、なぜドタキャンしたのだろうか?そこで本誌は中西さんにキャンセルの連絡を入れた、厚労省の医政局を取材した。すると、担当者はこう答えた。
「意見交換会で考えを述べたときに、誤った形で伝わることは双方にとって良いことではありません。より良い議論を行うにあたり、書面で質問事項を出していただいて、それから意見交換の場を改めて設けたいとご提案しました」
中西さんは「メディアが入るから、やっと本腰を入れるのか」と不信感を抱いている。そのことを伝えると、担当者はこう述べた。
「『メディアが入るから』というのは、関係ありません。国会でも取り上げられておりますし、まず書面でやりとりすることで、しっかりした形で対応したいと考えております。そうすることで双方にとって、有意義な話し合いの場になると思います。
また、『準備をしていないからキャンセルした』ということでもありません。直近で大臣の国会答弁もあり、当省の考え方を示している中で、より有意義な意見交換会にする方法を考えていました。
直前でキャンセルという形になってしまい、中西さんたちに申し訳ないという気持ちです。ですから、連絡を入れた際も『しっかりとした形で開催したい』とお伝えしました」