■外車には手が届かない
円安の影響は輸入車にも。自動車ジャーナリストの佐藤篤司さんが話す。
「平均給与所得者の庶民でも、多少無理をすれば購入できたベンツのCクラスも、安全性能などの技術革新のコストが上乗せされ、年々価格が上昇しています。さらに、この円安でほとんどの人には遠いものになりつつあります。
一方で、2千万円以上するようなスポーツカーが一部の富裕層の間で売れている。日本自動車輸入組合によると、1千万円以上の超高級車のシェアは初めて10%を突破。二極化していることが浮き彫りになっています」
■頻繁な国内旅行も難しく
海外は無理だから、国内で。そんな選択も難しくなる。前出の鳥海さんが語る。 「アフターコロナには、円安により物価が安くなった日本に大勢の外国人観光客がやって来ます。なにしろ先進国のなかで、1泊50ドル(約6750円)でそこそこのホテルに泊まれる国は日本だけ。外国人が殺到して、国内旅行をしても予約が取れなかったり、宿代が値上がりしたりするでしょう」
一般の人にとって、京都が今のハワイくらいに遠くなるかも……。
最後に『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)の著書がある早稲田大学の橋本健二教授が語る。
「この20年は、企業が人件費節約のために非正規雇用を増やしてきたことで、日本人全体の賃金水準がまったく上昇しませんでした。かつては日本人の多くは“中流”だといわれましたが、円安によって世界水準では“下流”になってしまうかもしれません。政府には早急な賃金上昇策とともに、円安対策が求められています」
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