「やりたくなければやらなくていい」PTAから脱却した小学校の取り組み
画像を見る イベントを運営するのはボランティアだ(写真提供:嶺町小PTO)

 

■「変わらないPTAは淘汰されていく」

 

PTA時代は本部役員と各種委員会がいるトップダウンの組織だったが、PTOになってからはボランティアセンター(ボラセン)のスタッフ約40名とイベントごとに手伝う“サポーター”で構成されるフラットな組織形態になった。

 

「ボラセンは実行部隊ではなく、サポーター集めや役割の割り振りがメインの調整係。多くの人が協力したくなるように工夫するのが役目です」(蒔野さん)

 

そのために、いつどんな役割をするのか明確にすること、事前準備がいらない活動にすること、運動会のサポーターをすると競技の写真が撮りやすい詰め所が利用できるなどメリットを提示することなど、募集方法を工夫している。

 

「参加して『子供の笑顔が見られた』『親も楽しめた』と思ってくれたなら、次も協力してくれます」(星さん)

 

コロナ禍でも、工夫して活動を続けている。

 

「ボラセンを中心とした保護者が発案した『クイズラリー』を2020年度から実施しました」(蒔野さん)

 

商店街や町会の掲示板にクイズを張り、子供たちは冬休みの好きな時間に回って答えを探す。密を避けて楽しめ、子供たちや商店街の人に大好評だったそう。PTOになって今年で8年目。

 

「転校生の保護者や異動してきた先生はびっくりされます。PTOにはやりたい活動があり、予算があって、手伝ってくれる人もいる。最高です」(蒔野さん)

 

PTAに詳しい文化学園大学の加藤薫教授はこう語る。

 

「2010年ごろから、新聞やテレビの報道などがきっかけで、PTAは強制加入ではなく、入退会が自由だという認識が広がり始めました」

 

さらにここ数年で、個人情報保護法が厳格に運用されるようになった影響も大きいという。

 

「学校から保護者名簿が提供されなくなり、PTAは『入会届』を集める必要が出てきました。その結果、大分市や北九州市でPTAの加入率30%という学校も見られます。これからは保護者が加入するかどうかを選ぶ時代。古いままのPTAは選ばれず、淘汰されるしかないでしょう。PTAは変革を求められているのです」(加藤教授)

 

理不尽なPTA、辛いばかりのPTAはもういらない。嶺町小学校のような変革が求められている。

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