「デルタ株までの後遺症で特に顕著だった症状は“倦怠感”“嗅覚障害”“味覚障害”でした。それがオミクロン株に置き換わってからは“倦怠感”を訴える患者さんが顕著に増加し、反対に“嗅覚障害”“味覚障害”が減少。そして“頭痛”“睡眠障害”“せき”といった症状が増加しています。オミクロン株に変異後、後遺症の症状も明らかに変わったと言えます」
こう語るのは、岡山大学病院総合内科・総合診療科「コロナ・アフターケア外来」で後遺症患者を診察している、大塚文男副病院長。新型コロナウイルスの国内累計感染者数がのべ2千万人に達しようとしている。このうちオミクロン株に変異後の第7波だけで感染者全体の半数以上を占め、約1千50万人を突破。同時に、コロナ感染による“後遺症”の増加が懸念されている。
英国のロンドン大学キングスカレッジの研究チームが行った調査によると、オミクロン株に感染した場合の後遺症発生率は、全体の4.5%という結果だった。仮にこの発生率を日本の感染者数に置き換えると、第7波だけで45万人以上が後遺症を発症することに……。後遺症で苦しむ人たちが、これから急増することも考えられるのだ。
岡山大学病院では、患者1人1人に細かく聞き取り調査を行っている。患者1人につき、平均で4〜5の症状を訴えるそうで、症状の種類だけでもじつに100以上。それらをまとめてデータ化していくなかで、オミクロン株に変異してからは、新たな症状を訴える患者が増えたという。
「腰痛、肩こりなどの筋肉痛の症状を訴える患者さんもいます。数は少ないですが、立ちくらみ、足が重い、まぶしい、火照る、耳鳴りなどの症状はデルタ株の後遺症ではあまりみなかったものです」(大塚副病院長・以下同)
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