■安倍家、麻生家、小泉家……私は自民党を「ぼくちん政党」と呼んでいます
「今の第二次岸田政権でも、残念なことに、女性閣僚はわずか2人。一方、全方位的に各派閥にものすごく配慮した、いわゆる派閥順送りの人事がなされています。
派閥に世襲。選挙となったときに、日本の社会って、すごい好きですよね、世襲、二世議員。
パパが政治家だった、おじいちゃんも政治家だったという、家名に連なるもの。安倍家、麻生家、小泉家……。
私は、それを「ぼくちん政党」と呼んでいます。自民党は、ぼくちんや坊ちゃんばかりなんです。一方の野党は、不満をつのらせる「おれっち政党」かもしれませんが。
あと、地方などでは、名士の子供が選ばれやすいわけですよ。たとえば学校法人や幼稚園を経営していて、寄付などを通じて自民党の県連とコネクションがあったりする。いざ選挙となったとき、親の自分はなれなかったけど、名士の息子が議員になるという、これもまたイエ中心主義の表れ。 当然、この世襲や二世が選ばれるときも、男性優位は変わりません。少し前の話になりますが、’12年に安倍元総理が政権の座に返り咲いたときに掲げていたのが「女性が輝く社会」でした。しかし、それを実行するエンジンである国会議員に、女性が1割もいないというのは、どういうこと!? まるでギャグやコントのようですよね」
■3年間、抱っこし放題していたら、女性の職場でのポジションはなくなってしまう
「女性が輝く」政策に続いて安倍政権が翌’13年に提示したのが、女性の育児休業を3年間とする「3年間抱っこし放題」政策だった。
「3年間、抱っこし放題していたら、女性の職場でのポジションはなくなってしまいますよ。現場を知らない人が政策を作ったなぁ、と。この政策はまもなく封印されましたが、安倍政権だけでなく、自民党がやってきた女性政策というのは、実は女性を労働力として社会に戻す経済政策なんですね。
具体的に言いましょう。日本は待機児童の解消など、女性が働くために子供を預かる政策に対して非常に力を入れてきました。一方、働いていないお母さんが、自分の時間を取り戻したいとき、保育園は預かってもらえません。わがまま、ぜいたくで切って捨てられる。
私が言いたいのは、母でもない、妻でもない、娘でもない、その個人に立ち返れる支援をするのがジェンダー政策であって、母親が働くための支援は経済政策なんです。
その二つをごっちゃにしてるから、「女性が輝く」なんて、わけのわからない政策の名前にしちゃったんですね。一人の人間へのレスペクト(尊敬)を欠いてしまった社会は、どう考えても、いびつだと思います」