■「“ありのままの姿を知ってほしい”と前に進む姿に、私も逆に勇気をもらうんです」
《障害児の母として、「障害があっても堂々と生きられる社会を作りたい」と思い、このモデル事業を立ち上げました。傷つくことを言われるかもしれませんが、それでも覚悟を決められた方は、お申し込みください》
’21年7月、キッズモデル事業のスタートに当たり、周囲に相談すると、ほとんどの答えは、
「人が集まらないでしょう」「日本って、家族に障害者がいても隠したがるのでは?」
というものだった。しかし、インスタグラムなどを通じて募集を呼びかけたところ、思いがけない反響があったのだ。
「まず1週間以内に、北海道から九州まで10人以上の方からご応募がありました。私一人の会社ですから、手続きなどが追いつかず、いったん募集を休止するほどで」
応募してきた父母たちの生の声を聞いて、内木さんは、障害児を取り巻く環境が今こそ変わろうとしていることを実感する。
「すでにSNSの世界では、『障害児ママの子育て』といったハッシュタグで、同じ悩みを持つ人同士がつながる動きも多く見られていました。そうか、若い世代の両親たちは、“もう障害を隠す時代ではない”と思っていて、“ありのままの姿を知ってほしい”と前に歩み出しているんだと、私も逆に勇気をもらうんです」
千葉県茂原市在住の渡邊愛さん(43)は、家族会議を開いて、ADHDと軽度知的障害のあるやまと君(7)のモデル登録をした。
「最後は、やまと自身の、『僕、モデルをやりたい!』のひと言が決め手でした。もともと天真らんまんな子なんです。障害があっても、こんなに楽しく過ごしていることを伝えたかったし、表に出ることで何かあっても、私たち両親が盾になるとの覚悟もできました」