政府の電気代支援策も焼石に水…2023年“値上げラッシュ”で家計負担年間が14万2,188円増に
画像を見る 【解説】食費は月4,813円増…2023年の家計負担増額シミュレーション

 

■水道・光熱費が値上げされやすい理由とは?

 

「電気代やガス代は、原材料となる原油価格の上昇をそのまま反映しやすいもの。各電力会社の価格は値上げ幅の上限に達してしまっているため、さらなる値上げを経済産業省に申請中ですが、‘23年内に2~3割は上がると考えたほうがよさそうです」

 

ただし、節電を心がける人も増えており、プロパンなど都市ガスほど上がっていないガスの利用者も一定数いることを考慮すると、「最終的な支出は20%程度増え、月額5,099円の支出増となることが予想されます」

 

政府は電気代の支援政策を進めているが、これでは焼け石に水だ。

 

最後に住居費に関して。

 

ライフルホームズのデータによると、東京都の標準的な賃貸マンションの賃料が過去3年間で約2.23%上昇しているというが……。

 

「不動産会社などが公表している賃料は、あくまで表面的な金額であり、参考程度のため正確な数値とは言い切れません。しかしここ数年、住居費が徐々に上昇し続けているのは事実です。それらを総合的に判断すると ‘23年は、およそ10%程度の上昇幅が考えられ、月額1,937円の支出増となるでしょう」

 

これらの主要3項目を合算するだけでも‘23年の2人以上の世帯の支出では「月額11,849円の負担増となる」と加谷さんは導き出した。

 

年間では14万2,188円もの負担増になってしまうのだ。

 

ほかにも日用品、レジャー費の値上がりが予想され、これ以上の負担も十分考えられるという。

 

家計負担が拡大するなか、私たちができる対策とはいったい――。

 

「食費は家計支出の多くを占めるとはいえ、これを削るのは心身ともに健康的とは言えません。従来の支出から削るなら、車や家電といった大きな出費でしょう」

 

この冬、まさにライフラインとなる電気代も、「節約に縛られないほうがいい」と、加谷さんは次のアドバイスをくれた。

 

「もし、10万円程度の初期費用を投じる余裕があるのなら、家の窓を二重窓にプチ改装するだけで、その後に暖房にかかる電気代が劇的に安くなります。私も自宅を二重窓にしたら、室内の上下の気温差も大きく改善されました」

 

支出を“ケチる〟だけが節約ではないのだ。

 

‘23年の値上げ負担を事前に把握し、できる対策を、いまから打っていきたいところだ――。

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