■ピザ店を営むことが元気の秘訣 100歳まで働くのも夢じゃない
全員が口をそろえて、「金・土・日が生活の核になっている」と話した。タカコさんは言う。
「この3日間を元気で店に出るために、みんな、ふだんから自己管理して生活してます。各自の分担も決まっている流れ作業だから、誰か一人が欠けてもダメなんです。ここでは、6人みんなが、必要とされている人なんです」
まかないを食べながら話している間も、テークアウトの注文が入ったりして、中座を余儀なくされる。接客担当のマツエさんが最後に席についたときには、2時を回っていた。
「私は蓮沼の役場で定年まで勤め上げました。退職したあと、家で腰が痛い、肩が痛いと嘆いてるより、みんなでワイワイ言いながら働けるのが、元気のもと。
あと、元役場の職員としては、地元の野菜や魚介を使っていて、地域のために少しでも恩返しをできているのも、やりがいにつながってます」
最後のお客さんを送り出したのは、閉店時間の午後3時を15分ほど過ぎたころだった。
「お疲れさまでした」
最後もみんなで声をかけ合い、着替え終わると、また自然に中央のテーブルに腰掛けて、午後のお茶の会となる。
「今日は、後半は、ちょっとヒマだったかね」
「まあ、金曜はこんなもんだよ」
ようやく、くつろいだ6人の様子も撮影させてもらっていると、また記者たちにも声がかかる。
「ほら、あんたたちも、朝からの取材で疲れたでしょう。一緒にお茶飲もう」
テーブルを見れば、記者とカメラマンの分のお茶が、ホワホワと湯気を立てている。先ほどのまかないのときも、われわれの分のおにぎりまで用意されていた。この素朴で温かなもてなしの気持ちこそ、BaBaピザの隠し味なのだ。そんな感慨にふけっていると、最年長のトキさんが、
「まっ、写真もしっかり撮っておいてよ。今度取材に来たときは、私はいないかもしれないから」
すると、いっせいにほかの5人が声を上げた。
「そう言いながら、トキさんが100歳までいちばん元気に働いてるんだよ」
またまた小さなピザ店の店内に、気取らない笑い声がはじけた。