■苦しいことも楽しいことも店に行けば共有できる。年を重ねるほど、友達の大切さが身に染みる
「近くに息子はいますが、私は、45年間、ずっと一人暮らし。
でも、BaBaピザの店があるおかげで毎日が忙しくて、孤独どころじゃない。やっぱり、責任ある仕事があるのは、生活のハリになるわね」
店の戸締まりを済ませたあと、車に5分ほど乗ってお邪魔したキョウコさんの自宅。庭の桜の木では、びっしりとついたつぼみが開花のときを待っていた。
「今年も、この桜の下でみんなで花見をしようと、今日も話したばかり」
店の喧騒とは対極のような、静まり返ったリビングには、自作という油絵、陶芸品、リサイクル着物など、実に多趣味なことがうかがえた。
「ピザ屋もそうだけど、なんでもやるならとことん、という主義。その代わり、勉強もします」
今後のBaBaピザの目標について尋ねると、
「開店当初、店名に“よりどころ”と加えようと思ってたの。ありがたいことに、今はテレビで見たという遠方からのお客さまも増えたけど、それに加えて、地元の人にも、もっと来てほしい。お年寄りが、手押し車でフラリと寄れる場所にしたいの。
店を続けることに不安はないんです。6人全員に、半世紀近い歳月と信頼の積み重ねがあるから。文句を言い合いながらも残ったのが、あの6人なのよ(笑)。
苦しいことも楽しいことも、あの店に行けば、みんなと共有できる。年を重ねれば重ねるほど、友達の大切さが身に染みます」
地物野菜のスムージーなど、ピザ以外の新メニューも考案中とか。6人のBaBaたちは、まだまだやる気いっぱい。
関連カテゴリー: