今も救急搬送の困難事例が続出…コロナ5類化でも懸念される「医療崩壊」リスク
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■地域の状況に応じた対応策を

 

高齢者施設でのクラスターは今も続いている。

 

「5月中に、お亡くなりになるかもしれないコロナの入居者が3人います」

 

そう明かすのは、名古屋市内のクリニックに勤務する薬剤師の川田秋恵さん(仮名)。川田さんが勤務するクリニックが提携する高齢者施設では、4月下旬に入居者のひとりが発熱。しかし検査はせず、解熱剤のみで様子を見ていたところ感染が拡大したという。

 

「気の緩みがあるのか、医師が検査を勧めても、施設長の判断で〈検査はしない〉というところも増え始めています。その結果、抗ウイルス薬の処方も遅れ、症状が悪化してしまうのです。5類移行で公費負担がなくなれば、とくに貧困層が多く入居する施設では、検査も治療もしないというケースが増えるのではないでしょうか……」(川田さん)

 

前出の山田さんは高齢者の感染のリスクを指摘する。

 

「食事が取れなくなって衰弱したり、発熱に気づかず外出先で歩けなくなって救急搬送されたらコロナだったというケースも少なくありません。若い人にとって、コロナは“ただの風邪”でも、高齢者にとってはそうではないのです」(山田さん)

 

さまざまな懸念のなか、コロナの5類化は断行される。早稲田大学教授で、医療経済学が専門の兪炳匡(ユウヘイキョウ)さんはこう指摘する。

 

「本来は、科学的根拠に基づいて病床数を減らしたり、感染対策を変更したりすべきです。日本では、そのような自治体はほんの一部。欧米では現在でも、人口15万人以上の都市では下水内のウイルス量を毎週調査し、ウイルスが増加している地区では、マスク着用やPCR検査を促したり病床を増やすなど対策を変えているのです」

 

しかし日本では、“日本社会らしく”、常に横並びで感染対策が変更される。そうした政策の先に、何が待っているのだろうか。

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