北海道でたびたび目撃情報が飛び出すヒグマ。そのヒグマを巡る“ある活動”が波紋を呼んでいる。
きっかけは、一般社団法人「日本ヴィーガン協会」がヒグマ保護のために立ち上げた「クマたちから学ぶ日本再生プロジェクト!」と題したクラウドファンディング。クラウドファンディングのサイトに掲載されている紹介ページには、内容についてこう説明がされている。
《2023年夏!ついに私たちは北海道のヒグマ補殺ストップ活動スタート!これもクラウドファンディングでご支援あり、活動が注目され、北海道からご協力の声を頂いたからです!
ヒグマと暮らした経験豊富なアドバイザーとともに北海道へ!貴重なヒグマの生態や調査報告書を、環境省や関係自治体、ご支援者の方に送ります!》
今回クラウドファンディングを行った経緯については、同団体が過去に行った本州に生息するツキノワグマの生態調査より、クマが住む森林の環境が悪化していることと、クマが必要以上に殺されていることを知ったことがきっかけだという。同様に北海道のヒグマも保護するために、クマたちの実態調査・獣害駆除のない自然農法の推進・捕殺しない仕組み作り・クマの保護の4つのプロジェクトを行う予定。また、支援者へのリターンとしては、調査や学習した内容をまとめた報告書を兼ねる季刊誌の送付などが予定されている。
しかし、ヒグマが生息する現地での調査を予定していることが9月上旬にSNS上で拡散されると、たちまち反発の声が。北海道では、ヒグマによる人身事故を防止するために“ヒグマに遭わないこと”と注意喚起されていることもあって、こんな声が。
《調査? 自己責任でやればよろしい。 ゴミは持ち帰れよ ハンター同行は趣旨に反するぞ 何があっても公的機関に救助は求めないでくれ ヒグマの生態を学んでから出直せ 以上道民の独り言でした》
《日本ヴィーガン協会??? あんたらヒグマの餌かい? やめてくれ、人間の味を憶えたヒグマがどうなるか知ってますか。 過去、開拓時代から北海道でヒグマと開拓者達がどう関わってきたか。ヒグマをただのドでかい野生の熊と思っていたら大間違いですから。》
しかし、クラウドファンディングのサイト内には「北海道から協力のお申し出があり」という文言が。果たして、北海道の行政から「日本ヴィーガン協会」に依頼があったのだろうか。そこで、本誌は北海道庁ヒグマ対策室の担当者に話を聞いた(以下、カッコ内は担当者)。
――今回、道庁のからそのような依頼を協会にしたのでしょうか。
「サイト中の『北海道』がどのような主体を指すものか分かりませんが、当職では関与していません」
――調査のためにヒグマが生息する森に入ることを、道庁として認めていますでしょうか。
「それぞれの土地管理者の判断になります」
――独自でこのような調査をすることに対しての見解をお聞かせください。
「日本ヴィーガン協会が独自の考えで調査を行うものと考えます。道庁としてコメントする立場にありません」