■50代世帯は月2万円の負担増
仮に消費税19%が現実のものとなれば、家計の負担はどれほど増えるのか。’22年の総務省「家計調査」の50〜59歳、2人以上世帯の消費支出をもとに試算した。
現在、消費税10%のものは19%に、軽減税率が適用されているものは15%に増税されると仮定した場合、家計の負担は年間で約24万7000円、月間で約2万円も増加することになる。
これまで財務省は、〈消費増税は、少子高齢化で増大する社会保障費を賄うために不可欠〉と繰り返してきた。そのため、「消費税アップはやむなし」と、考える人も多い。しかし、大村さんはこう指摘する。
「社会保障に回っている消費税は、ごくわずかです。消費増税の代わりに引き下げられてきた“法人税”や、高所得者ほど多く課せられる“所得税”などの減税分を穴埋めするために充てられてきました」
一般会計財政の推移(財務省)を見ると、消費税が導入された1987年から2023年までの36年間で、予算規模は30%以上拡大しているにもかかわらず、法人税と所得税の税収は約10兆円減。代わりに消費税の税収は23.4兆円にも増大した。大村さんは「日本の消費税は世界でもまれな不平等な税制だ」と指摘する。
「消費税は公平でいい税金だと思っている方も多いですが、ダイヤモンドとトイレットペーパーの消費税率が同じ、という国は日本ぐらいでしょう。他国は、ぜいたく品には高い税率をかけ、食品や日用品など生きるための必需品には0%という国も少なくありません。そうしなければ、貧しい人ほど収入に占める消費税の負担率が高くなり、富の再分配機能が働かなくなるからです」
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