年金、年1万1484円実質負担増!金額は上がるも物価上昇には追いつけず
画像を見る 庶民は小銭を数えるようにして、生活の負担に耐えて(写真:アフロ)

 

■年金支給額は上がっても、物価上昇には追いつけず、年間3万4千140円の負担増に!

 

その高齢者に追いうちをかけるのが介護保険だと、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが語る。

 

「2000年度に始まった介護事業ですが、第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料の基準額は、全国平均で月2千911円から、現在は6千14円と倍増しています。

 

先日、毎年改定されている40?64歳の介護保険料が、2024年度には6千276円と過去最高になると推計されました。3年に1度見直される65歳以上の介護保険料改定は、今年です。64歳以下と同額だと仮定すると、月の基準額が262円増額されることになります」

 

一方、日々の買い物では、いまだに物価の上昇を実感するばかり。

 

「一度始まったインフレは、そう簡単に収まらない」(経済評論家)ようだ。

 

ファイナンシャルプランナーの内山貴博さんが、昨年4月の総務省「家計調査」をもとに、年金改定が行われる今年4月以降の支出額を試算する。

 

「65歳以上の夫婦(2人以上)世帯の消費支出は月25万6千185円です。そこから物価上昇の影響を受けにくい住居費を差し引くと24万275円に。

 

前年の消費者物価指数の上昇率3.2%が今後も続くと仮定すると、昨年4月と同じ買い物をした場合、今年4月の支出は7千689円増える計算となります」

 

ここに、マクロ経済スライドによって抑制された年金額957円と、来年度の新たな介護保険料の予想増額約200円をプラスすると、8千846円の負担増に。一方、年金は6千1円増額されるので、その差額は2千845円。

 

つまり年金支給額が上がっても、物価上昇に追いつけず、月2千845円、年間3万4千140円も負担増となる結果になった。

 

年金生活者の自己防衛策としては「もはや働いて収入を得ることと、節約くらいしかありません」(柏木さん)という。

 

なかでも支出において大きな割合を占める食費がポイントとなると、柏木さんは語る。

 

「第一生命経済研究所のレポートでは、2022年9月から2023年8月までの1年間のエンゲル係数が29%となり、1980年以来の過去最高水準だと報告されています」

 

エンゲル係数とは家計の消費支出に占める、外食なども含めた食料費の割合だ。

 

「過去最高となったのは、食料品の価格が高騰していることが大きな要因でしょう。さらに映画館に行くのをやめてサブスクの動画サービスを利用したり、旅行の回数を減らしたり、趣味のお金を節約したことも要因と考えます。みなさん、食費以外、削れるところは削ってしまっているのではないでしょうか」

 

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