■暗証番号などの情報は絶対に教えてはいけない
「さまざまな手続きで、身分証明書の提示が求められます。これまでは偽造された運転免許証が使われましたが、今後は偽造マイナカードも増えるでしょう。詐欺師のターゲットとなる高齢者は運転免許証はないけれど、マイナカードは持っている人が多いからです」
さらに12月以降、従来の保険証が廃止され、マイナ保険証に一本化される。つまり、頻繁に通院する高齢者は、マイナカードを持ち歩いて使用する機会が増えるのだ。
「詐欺師にすると、だます口実が探しやすくなります。たとえば『地域の病院で個人情報の流出があった』などと言われると、通院している人はドキッとして、詐欺師の言葉を信じるでしょう」
加えて、カバンごとひったくりに遭ったり、紛失も考えられる。マイナカードには住所・氏名のほか誕生日の記載もある。キャッシュカードなどの暗証番号を誕生日に設定していたら、あっという間にお金を盗まれてしまうだろう。
マイナカード詐欺に遭わないためには、何に注意すればいい?
「まず、マイナカードは他人に見せない。警察官などと名乗っても、特に暗証番号などの個人情報は絶対に教えないことです」
マイナ保険証での病院受付は、自分で行うようにしよう。たとえ親切そうな人でも、マイナカードを預けてはいけない。
また、マイナカードと暗証番号があれば、誰でも本人になりすまし、個人情報の宝庫「マイナポータル」に侵入できる。マイナポータルには公金受け取りに指定した銀行口座の情報もあるので、悪用される恐れがある。マイナカードの管理は徹底したい。
「次に、マイナカードにかかわらず、詐欺師は電話での接触が多いので、詐欺電話の対策を」
着信時に「詐欺防止のため録音します」と警告アナウンスが流れ、自動録音が始まる詐欺対策電話機がおすすめだという。常に留守番設定にして、知人からの録音がある電話だけに掛け直す手もある。
「もっとも大切なのは『本物?』と疑問を持って確認することです」
警察官や公的機関の職員と名乗る人を信じてしまいがちだが、いったん電話を切って折り返そう。
「電話を切ったら子どもや近所の人に聞いてみて。あるいは#9110の警察相談専用電話、188の消費者ホットラインにご相談を」
クレジットカードなら盗難や紛失の連絡をすれば、すぐに止めてくれるが、マイナカードの即時停止が可能かは疑問だ。
国が便利だと喧伝するマイナカードは、実は隙だらけ。自分のカードやお金は自分で守るほかない。