激変緩和措置も終了へ(写真:時事通信) 画像を見る

「今回、電気料金が値上げされたことは『おかしい』としか言いようがありません!」

 

経済ジャーナリストの荻原博子さんが、このように憤る。

 

「電力会社10社は空前の利益を計上、うち8社は過去最高益を記録しました。それなのに“値上げ”で、電気料金も過去最高額になっているのです」

 

大手電力会社10社の2024年3月の本決算は、東京電力、沖縄電力以外の8社が過去最高益を更新した。その一方で、“生活必需品”である電気料金は高騰しているのだ。

 

たとえば東電ではモデル世帯(30Aで1カ月に260kWhの電力を使用した場合)の電気料金は、5月使用分(6月請求)が8538円だったのに対して、6月使用分(7月請求)は8930円と、1カ月で392円も“値上げ”されている。

 

ほかの電力会社の料金も、四国電力は460円、関西電力は468円、沖縄電力に至っては616円と、軒並みの“値上げ”となった。

 

経済評論家の加谷珪一さんが、その理由を解説する。

 

「燃料価格の高騰や円安にともなう、電気・ガス料金の値上げをうけて、2023年2月に政府は『電気・ガス価格激変緩和対策事業』を始めました。電気料金に一定の補助金をつけて、利用者に請求される電気とガスの料金を抑制する仕組みです。

 

しかし、2023年9月使用分から補助される額は2分の1に、さらに今年5月使用分からは4分の1に減らされました。そして、6月使用分から完全に打ち切られてしまったのです」

 

その結果、モデル世帯の電気料金は、この1年で約1500円も増えることになったのだ。補助金がなくなったことによる家計への影響は、どれほどのものなのだろうか。

 

加谷さんは、東電のモデル世帯の見立てを「実際の国民の平均使用量より少ない」と指摘する。

 

環境省の「世帯当たり年間エネルギー種別消費量(令和3年度)」によると、年間の電気の消費量は4千175kWh。月あたりにすると、約350kWhとなる。

 

これを現在の相場で計算すると、月の電気料金は約1万3千円となる(東京電力・従量電灯B・50A契約の場合)。

 

「補助金が導入された当初の、1kWhあたり7円の補助が続いていたとしたら、ここから月に2千450円が引かれていた計算になります。補助金が廃止されたことで、年間約3万円もの負担増となってしまったのです」(加谷さん)

 

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