特別支援学校の実態を撮り続けたママカメラマン「僕にはみえているよ」
画像を見る コラージュ作品『子供と植物』シリーズの一枚

 

■瑞樹の写真こんなにかわいい!ダメ出ししたあの人に見せたい

 

〈瑞樹が入院してしまいました〉

 

そのメールが本誌記者に届いたのは、冒頭の仙台でのイベント取材から、わずか5日後のことだった。

 

「ずっと高熱が続いていて心配してましたが、とうとう2日前に血便が出て。この血便が初めてだったこともあり、さすがの私もご飯が喉を通らなくなって」

 

瑞樹君の生まれた成育医療研究センターに緊急入院となった。

 

「あと4~5日したら、学校の付き添いの条件も緩和されて、私も少し自由な時間が持てるという矢先でもありましたから、ショックが大きすぎました」

 

こうして山本さんは、今度は自宅から車で片道約1時間かけて病院へ通い、ベッド脇に付き添うという毎日が始まっていた。

 

すでに猛暑も始まり、瑞樹君の容体に加え、彼女の健康も心配されたが、経過は良好で、入院当日に主治医たちも「夏休み前の退院を目指しましょう」と話していたとおり、およそ1カ月間の入院で7月半ばに帰宅できたという。

 

「瑞樹も16歳ですから、夏休み明けあたりから、卒業後を見越して生活介護事業所などの見学なども始まります。2年後に18歳になると、医ケア児から“医ケア者”になるわけです。

 

きっと、これまでの学校の付き添いとは違う現場のリアルも見えてくると思います。

 

今後は、その現実も写真に撮って作品にして世に訴えていきたい」

 

すでに現在、付き添いとは違うテーマでの作品作りも始まっている。瑞樹君の隣で山本さんがジャンプしている『フライ・マミー・フライ』シリーズや、家族も協力して名シーンを再現した『映画ポスター』シリーズ、瑞樹君と花をコラージュした『子供と植物』シリーズなど、山本さんの創作意欲はますます旺盛だ。

 

「大学時代に、ある人から『君の写真は売れないよ。君が障害のある人をかわいく撮れれば別だけどね』と言われました。

 

でも、瑞樹と花の写真なんて、こんなにかわいいじゃないですか! そうだ、あの人にこそ早く見せなきゃ」

 

(取材・文:堀ノ内雅一)

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