■いま必要なお金か将来に備えるかの選択
「厚生年金保険料を支払うので、65歳から受け取る年金は生涯にわたり上乗せされます。
たとえば55~60歳の5年間働いた場合を試算すると、ケース(1)では年間約2万5000円、ケース(2)、(3)で約2万9000円、ケース(4)で約3万2000円上乗せされます」
社会保険料で減った手取り額を、将来上乗せされる厚生年金でカバーするまでの年数も、内山さんは試算している。
「損益分岐点は、たとえばケース(1)で28.6年です。65歳から受給開始した場合、94歳まで生きれば、手取りが減った分を回収でき、それ以降は“得”をする計算です」
ケース(2)では90.3歳、ケース(3)では89.4歳、ケース(4)では87.4歳が損益分岐点。
女性の平均寿命である87.14歳を超えれば得をすることになる。
前出の柏木さんはこう補足する。
「健康保険に加入することで、傷病手当金が受け取れます。病気やケガで3日連続で休むと、4日目以降からの休みに対し、最長1年6カ月間、給与の約3分の2が支給される制度です。
また厚生年金では、障害を負ったときに障害厚生年金、死亡したときには遺族厚生年金を受け取ることができます」
厚生労働省は、働き控えが発生する年収層のパートに限って、会社が支払う保険料の負担割合を柔軟に変更できる特例を導入するとしているが、手取り優先で労働時間を調整するか、将来のため年金を上乗せしていくのか、判断が必要となりそうだ。
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