「マイナンバーカードの新規発行や“更新”のために窓口に来られる方は、昨年と比べて1日あたり5~7倍ほど増えています。転出入が多い時期とも重なって、自治体の窓口は非常に混雑しています」
こう明かすのは、東京都内の自治体職員だ。
個人番号が搭載され、今月24日からは免許証とも一体化できるようになったマイナンバーカード。政府は、昨年12月2日をもって、従来の“紙の健康保険証”の新規発行を終了。マイナ保険証の運用を前に駆け込みで新規発行する人も増え、カードの取得率は全人口の約78%にのぼった(’25年2月末時点)。
そんななか、大きな問題となっているのが、冒頭で自治体職員も言及していた“更新”だ。経済ジャーナリストで、マイナンバーカードの問題に詳しい磯山友幸さんは、こう解説する。
「マイナンバーカード自体には10年間の『有効期限』があり、発行日から10回目の誕生日までとなっています(未成年の場合は5年)。
ただし、カードに付いているICチップ=『電子証明書』の有効期限は、年齢問わず発行から5回目の誕生日まで。どちらの場合も、市役所などに出向いて更新の手続きを行う必要があるんです」
カード自体の有効期限は表面に記載されているが、電子証明書の有効期限は自由記載のため、空欄の人も多いだろう。カードの有効期限から5年を引くか、マイナポータルにログインすることで、正確な電子証明書の有効期限が確認できる。
マイナンバーカードの交付が始まったのは2016年1月。よって今年から「10年目」に該当し、カードの更新が必要になる人が出始めている。さらに深刻なのは、「電子証明書」の有効期限切れだ。
「政府はマイナンバーカード普及のため、2020年9月からマイナポイントを付与するキャンペーンを始めました。そのころに発行した人たちは非常に多く、今年一斉に5年目を迎えることから、『電子証明書』の更新が必要になる人が激増しています」(磯山さん)
総務省によれば、今年度電子証明書の更新が必要になるのは2768万件で、2023年度の約12倍にもなる。そのため自治体の窓口には長蛇の列ができ、大混乱になっているわけだ。
では、更新には具体的にどのような手続きが必要なのだろうか。