■捏造でなかったら辞職するはずだったのに……
高市氏は当該文書を「悪意を持って捏造されたもの」「怪文書の類」などと主張。さらに、「 “大臣レク”などなかった」と言い、大臣室の職員2人も「絶対にないと言ってくれている」と強弁した。
「非常に驚きました。この文書は“行政文書”として総務省も認めています。仮に官僚が行政文書を捏造していたとしたら、国家公務員法上で懲戒処分の対象になりますし、公文書偽造行使罪で犯罪になるんです。つまり、高市氏の言っていることは、かつての部下を懲戒処分の対象かつ刑事犯罪人だと言っているのと同じなんです」
さらに、高市氏は文書の内容が真実であることを証明するように小西氏に求めてきたが……。
「高市総務大臣の下で、総務官僚のみなさんが事実に基づいて公文書を作成したわけです。なぜ私に証明を求めるのか、わけがわかりません(笑)」
小西氏は高市氏に「仮にこれが捏造の文書でなければ、大臣そして議員を辞職するということでいいか」と迫ったところ、高市氏は「結構です」と答弁している。
「しかし、作成者である総務省の3人の官僚たちは『ねつ造はしていない』と国会に報告しました。高市氏に大臣レクがなかったと言ったとされている2人も、『“絶対ない”という表現をしたかどうかは、記憶にない』というふうに証言したんです」
結局、総務省も「レクがなかったとは考えにくい」「捏造ではないと考えている」と結論付け、文書の真実性は確定的になった。しかし、高市氏は“捏造発言”を撤回せず、大臣職はおろか国会議員も辞職しなかった。
「結局、高市さんは、自らの保身のために違法行為、犯罪行為を部下に押し付けた。これほど政治家としての責任感に欠ける人物っていうのは、古今東西なかなかいないぐらいです。あのときすぐに議員辞職をすべきだったと思います」
■「政治家として恥ずかしい」と同僚もあきれ顔
高市氏を、霞が関や永田町では冷ややかに見ている。
「官僚の皆さんは、高市さんを心から軽蔑しています。『あの発言はないよな』『政治家として絶対ありえない』『最低だ』という声も聞きました。議員会館のなかでいっしょになった自民党の議員さんでさえ、『高市さんの答弁はありえない』『政治家として恥ずかしい』とおっしゃっていました」
もし、高市氏が総理に選ばれたとしても、官僚は“高市総理”を信頼することはないだろうと小西氏は考えている。
「結果的に、放送法の解釈変更は、この文書が明らかになったことで、2023年3月17日の私の質疑で実質的な撤回が行われました。しかし、高市さんはいまだに政治的な責任をとっていない。
行政文書を含む公文書というのは国民主権のためのものですが、保身や私利私欲のためにそれをねじ曲げてしまうような人物が総理になれば、議会制民主主義ですとか、法の支配ですとかが成り立たなくなる。そして、そういう人が上に立てば、社会の道徳もおかしくなってしまうのではないでしょうか」
画像ページ >【写真あり】公文書をもとに政府を追及した小西氏(他1枚)
