高市政権で“介護負担2割引き上げ” 試算された支出激増の現実と“深刻な影響”
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■自宅をリフォームのケース

 

歩行がおぼつかない親のために、玄関スロープ(20万円)、浴室手すり(5万円)、トイレ手すり(6万円)を設置した場合はどうか。

 

「介護保険において、自宅リフォームに関しては、20万円までは1割負担、20万円を超える分は自己負担になります」

 

当該ケースの場合、1割負担なら13万円で済むが、2割負担では15万円となる計算だ。

 

■介護付き有料老人ホーム入居者のケース

 

要介護1の親が有料老人ホームに入ったケースで考えると、

 

「都内施設を例にとると、入居金980万円を納めた場合、家賃12万円、管理費5万5千円、食費6万9千円、介護費用2万800円で、1カ月の負担額は26万4千800円。

 

自己負担が2割になれば、介護費用が倍となり負担額は28万5千600円と、月に2万800円、年換算で24万9千600円も負担が増えます」

 

以上のように、2割負担となると、老後の貯蓄を大きく取り崩すことになる可能性が出てくる。利用頻度の高いサービスほど、利用回数の見直しを余儀なくされる人が出てくると考えられる。

 

2022年に日本デイサービス協会が行った「自己負担原則2割導入における利用者意向アンケート」では、自己負担2割になった場合、約30%の人が、デイサービスの利用回数を減らす、中止するなど、何らかの利用控えを考えていると回答しているのだ。

 

「1回あたりの負担が増えれば、利用回数を減らす心理が働きます。しかし、それでは心身機能を維持するための活動量が減り、介護がさらに必要になってしまう懸念も」

 

同時に、利用控えが起こると、当然介護施設の収入が減ることに。

 

「在宅サービスは利用者数の変動に非常に敏感と言われ、利用者が5~10%減るだけで赤字に転落する事業所が多いと考えられます。

 

利用控えの影響が大きいのはデイサービス、訪問介護など地域に根差しているサービスなのです」

 

撤退する事業者が増えれば、必要な介護を受けられなくなる人も生まれかねないのだ。

 

「1割からいきなり2割負担に増やすのではなく、消費税のように数%ずつ引き上げるなど、急激な負担増を防ぐ方策も選択肢に挙げるべきではないでしょうか」

 

高市政権には、丁寧に議論を進めることが求められている――。

 

画像ページ >【試算あり】2割負担になると…デイサービスと訪問介護で年141,120円支出増(他1枚)

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