「修理は治療」と痛感…予約殺到の“ぬいぐるみ専門クリニック”院長が語った「開業を決意したターニングポイント」
画像を見る これまで1万7千体のぬいぐるみを治療した箱崎なつみさん(撮影:高野広美)

 

■「それぞれ唯一無二。目の位置や顔の輪郭…相談しながら個性を生かして治療を」

 

「保護者さんたちは、ぬいぐるみと、それぞれ唯一無二の接し方をなさっています。生地、つめもの、できた年代による縫い方の違いもあって、いま販売されている新品と同じにすればいいというものではないのです。

 

目の位置や顔の輪郭……相談しながら、個性を生かして治療しています」

 

箱崎さんが治療へのこだわりを、こう話す。使用する素材は、持ち込みもあれば、リクエストに応じてスタッフが買い付けにも出向く。

 

「お店を回っていて『(求められていたのは)これだ!』と、買うこともあります」

 

こんな念の入れようのためスタッフ8人で請け負うのは、現状の月120体が精いっぱい。それでも1月で開業から10周年を迎え、これまでに1万7千体の患者さんを完治させてきた。

 

さらには近年、シンガポールやタイ、アメリカ、北欧からも問い合わせや予約が増えている。

 

「さすがに経営規模の拡大が必要と感じています。スタッフが満足して、安心して働ける環境を維持したいんです」

 

業務と就業環境の改善のために多忙な彼女だが、私生活では’25年12月24日に第1子を出産した。

 

「3990グラムの女の子です。いまは子供が泣けば、ミルクか、抱っこか、おむつか……てんてこ舞いの状態です」

 

出産はイラストレーターの夫(47)のほか、クリニックの創業メンバーである婦長の庄司かおりさん(40)、統括の平山みなこさん(40)が立ち会った。

 

「ずっといっしょに歩いてきた2人には、見届けてほしかったんです。私が限界まで苦しむ姿を」

 

そう言って、ほほ笑む。

 

クリニックでの取材の最後に、スタッフも参加して記念撮影。入院中の患者さんや、付き添いのコたちに目を向けながら、箱崎さんが言った。

 

「このコたちのお顔が正面に来るように撮ってもらっていいですか? 生命が吹き込まれる感じで、生き生きしてくるんです!」

 

今日もまた、思い出のつまった患者さんたちが、保護者に連れられて、なつみクリニックのドアをたたく――。

 

(取材・文:鈴木利宗)

 

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