■診察や検査の一部まで保険適用外にすることも可能
実際に、保団連などが今年3月に実施したオンラインアンケート調査には1カ月で8千件以上の回答があり、〈生きるためにはアレルギーの薬が欠かせない。これ以上の負担増になれば死活問題だ〉などという不安の声が寄せられたという。
政府は、負担増による受診控えを防ぐため、子どもやがん・難病患者、入院患者、低所得者などは除外する見通しだが、上所さんは、「線引きは患者を分断することになる」と指摘する。
さらに問題なのは、こうした“保険外し”の動きが、「OTC類似薬のみならず“診察”や“検査”などにも広げられる可能性があることだ」と指摘するのは、衆議院議員の辰巳孝太郎さん(共産党)。その理由を、こう解説する。
「現在、参議院で健康保険法等改正案の審議が進んでいますが、問題なのは、その条文の書きぶりです」
条文には、〈代替性が特に高い薬剤を用いた療養その他の適正な医療〉と記されている。
「ここでいう“代替性が特に高い薬剤”とはOTC類似薬のことです。しかし気になるのは、その後に続く“療養”や“医療”という文言です。つまり条文上は、薬だけでなく、その薬を使った治療や検査、手術などにまで、保険適用外の対象に広げられるとも読める内容になっているのです」(前出・辰巳さん、以下同)
実際に、辰巳さんが衆議院の厚生労働委員会で上野賢一郎厚生労働大臣に問いただしたところ、大臣も「そのように読めるかもしれない」と認めたという。
「現時点では、対象はOTC類似薬に限られています。しかし、政府が“軽い症状”と判断した風邪や花粉症などについて、診察や検査の一部まで保険適用外にすることも、制度上は可能になってしまうのです」
風邪で受診した場合、3割負担なら初診料が約900円、コロナ・インフルの抗原検査を受けると約1千500?2千500円だ。薬代は別としても、窓口負担は高くても4千円前後で収まる。しかし今後、もし風邪が保険適用外となれば、3倍近い約1万3千円の窓口負担を支払うことになる。
「そもそも、風邪かどうかわからないから病院に行くわけです。検査を受けた結果、『ただの風邪でした』となることもある。それなのに、『風邪ですね。では10割負担です』という話になったら受診控えが増え、重大な病気が隠れていても発見が遅れてしまいます」
しかも、この法律が成立すれば、その後は厚生労働大臣の告示だけで、国会を通さずに対象を広げていくことも可能になるという。
「まさか、風邪が保険適用外になることなんてないだろう」と過信してはいけない。
「現在は、25%の追加負担で審議が進められているOTC類似薬でさえ、『将来的には、全額自己負担?、つまり保険適用外にすることも制度上は可能だ』と大臣が国会で答弁しているのです」
それが現実になれば、医療は“ぜいたく品”になりかねない。
高市首相は「国民が安心して医療を受けられる基盤のための改正」と説明するが、果たして本当にそうなのか?。今後の国会審議を注視する必要があるだろう。
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