「穴場を他人に荒らされたくない」クマ被害の7割が“山菜採り”中……それでも山形の地元民が警報発令中も“山に入る”ワケ
画像を見る ツキノワグマ(写真:FURIMAKO/PIXTA)

 

■“山菜を採り続けなければもったいない”という心理

 

5月5日には、山形県酒田市の山で山菜採りに出かけ、クマに襲われたとみられる78歳の男性が遺体で発見された。この事故の翌日にも関わらず、隣接する鶴岡市の山に山菜採りに出かけた男性に出かける理由を尋ねてみると――。

 

「俺の山だもん。たくさん税金を払ってんだから、山菜を採るのは勝手だろ。今、採らねば食べごろを過ぎて不味くなんだもの。採らねばもったいねえ。毎年、友人にタケノコをもらうから、俺は自分の山で採ったワラビをあげるのが恒例なのよ。もう長年続けた風習だからの。それに、俺が採った山菜で家族や友人たちが喜んでくれる姿を見るのが、何よりも嬉しい」(80歳男性)

 

男性は小学生の頃から山菜を採り続けてきた大ベテラン。所有する私有林には、今、ワラビやコゴミが生えているという。ちょうど良い収穫時期を見逃さないために週に3回は山に入っており、「対策はしているので大丈夫」と話す。

 

「山入るときは、必ず鈴つけてラジオ流してっから大丈夫だ。あと、ときどき大声出してクマを寄せつけねえようにしてる。ほかの山ではクマの目撃情報があるみたいだけど、俺が入ってる山にはクマは出ね。それは経験でわかる」(前出・80歳男性)

 

別の男性は、クマ被害が多発している最中でも山菜採りに出かけずにはいられない“あるある”の理由をこう語る。

 

「キノコもそうだけど、山菜がよく生えてる穴場ってもんをみんな持ってんのよ。自分だけの秘密の場所。俺が山さ入んねでいるうちに、その場所を他人に荒らされたくねぇのよ」(73歳男性)

 

厳しい冬を乗り越えたご褒美のように、この時期にだけいただける山の恵み。クマが怖いからといって、みすみすこの山菜シーズンを見逃すわけにはいかないという思いは強い。

 

「対策をしているから大丈夫という自信や、これまで襲われてこなかった過去の経験が、逆に怖いと思っています。山菜採りに行く際は、音を鳴らすなど基本的な対策は全てやっていますが、去年あたりからはそれが通用しなくなっている印象です」(前出・菅原さん)

 

さらに菅原さんは、山菜採り愛好家の心理についてもこう付け加える。

 

「『他人に縄張りを荒らされたくない』『せっかく山菜が食べごろを迎えているのに、採らないのはもったいない』という気持ちは、山菜採りをする者にとってはよくある心理です。気持ちはよくわかりますが、山菜は採らないでいるとその分、数が増えるんです。個人的には、そう思って我慢しています。今年、山菜採りを控えることで、来年はもっと山菜が増えてるんじゃないかなと期待しています」

 

山菜採り中のクマ被害について、山形県の担当者は次のように呼びかける。

 

「そもそも山菜が生えている場所は、クマが生息している場所ですから、そこに人が入っていく以上、遭遇する可能性は高くなってしまいます。今のところ、県として入山規制などの措置を講じる予定はありませんが、山菜採りをする際は細心の注意を払ってほしいです。『一人では行動しない』『音の出るものを携帯する』『遭遇したら背を向けてゆっくり後退する』などの基本的な対策をとっていただくのはもちろん、県では、クマの目撃情報を確認していただけるサイトやアプリ『けものおと2』を導入しています。山菜採りなどでお出かけする際は、それらを活用して事前に目撃情報を確認していただきたいです」(山形県 環境エネルギー部みどり自然課・鳥獣被害対策室 担当者)

 

山菜を採るために命を落とすのは、あまりにも代償が大きい――。

画像ページ >【写真あり】昨年秋、秋田県能代市で農作業用の小屋の脇の罠にかかったクマ(他4枚)

出典元:

WEB女性自身

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