■子どもも法廷で泣き出して……
これは防衛省や陸自の組織ぐるみの“パワハラ”といっても過言ではないのではないか?
「ご遺族の立場からすれば、そう言ってもよい状況でしょう。ただし法律に照らし合わせれば、事故後の二次被害防止の安全配慮義務違反、つまりご遺族を保護し、不利益を与えない配慮義務への違反と捉えるのが的確です」(佐藤弁護士)
去る6月24日に開かれた第1回口頭弁論では、妻が証言台に立ち「意見陳述」を涙ながらに読み上げた。さらに、傍聴席に座っていた子どもは、その母が意見陳述しているときに、こらえきれずに泣き出してしまっている。
「この先、二度と同じような事故で、悲しい思いをする人たちが出ない未来のために、夫の死が無駄にならないために――」
損害賠償請求と同時に「事故原因の追究と、誠意ある対応、謝罪」を妻が求める理由は、そこにあるという。
妻は夫について陳述書にこう記している。
「夫は真面目で優しくてひょうきんで誰からも好かれる人でした。夫が亡くなってから、夫の同僚や友人とお話しさせて頂く機会が多くありましたが、楽しく面白い話ばかりで、本当にみんなから愛されていたんだなと感じました。
子どもが産まれてからは、とにかく家庭を第一に考え、仕事から帰ってきたら子どもと散歩へ行ったり遊んだり、近くのグラウンドで野球練習をしたりしていました。家では子どもたちと一緒にふざけ合って、笑って、それが当たり前の日常でした。そんな父親が子どもたちも大好きでした。美味しいものを食べたり、旅行へいったり、笑ったり、泣いたり、怒ったり、もっともっと一緒に過ごしたかったです」
6月16日、防衛省は令和7年度の自衛官等の採用人数が1万1177人となったことを公表した。前年度より1453人増加し、3年ぶりに1万人を超えたという。
同日の会見で、小泉進次郎防衛大臣は「防衛省が取り組んできた自衛官の処遇改善、新たな生涯設計の確立などに関する施策が一定の効果をあげた」と成果を誇った。しかし、その裏で、「自衛隊の訓練が強度を増し、隊員の心身に対する危険度・負担度が増している」(佐藤弁護士)のに、安全性確保がなおざりなうえに、亡くなった自衛官の遺族に対する理不尽な対応が行われている。
次回の弁論は9月15日に行われる。
画像ページ >【写真あり】自衛隊の最高指揮官と談笑する小泉進次郎防衛大臣(他1枚)
