経済ジャーナリスト・荻原博子さん(写真:本誌写真部) 画像を見る

従来の紙の保険証を、有効期限が過ぎても使えるという「特例措置」が7月末で終わります。

 

マイナ保険証への移行に伴って、従来の保険証は2025年12月1日ですべての有効期限が切れました。ですが、有効期限切れの保険証でも医療機関を受診できるとする特例措置が2026年3月末まであり、さらに7月末まで延長中です。

 

6月30日、上野賢一郎厚生労働大臣は「特例措置の延長はない」と発言。8月以降は期限切れの保険証が使えなくなり、マイナ保険証か「資格確認書」での受診に完全移行することになりました。

 

厚生労働省はマイナ保険証の登録者は5月末で約9千443万人、マイナンバーカード保有者の約91%だと浸透をアピールしますが、そもそもマイナンバーカードの保有は任意で、保有率は83.4%(2026年6月末)。2割弱の人がマイナンバーカードを持っていないことを忘れてはなりません。

 

マイナ保険証の登録がない人には、申請など不要で加入する保険組合や自治体から資格確認書が郵送されています。ただ従来の保険証とそっくりなので、間違って従来の保険証だけを持って受診した場合、8月以降はいったん10割負担の全額を払わねばなりません。ふだん使っているのが「資格確認書」であることを確認してください。

 

■認知症などでマイナ保険証の認証が難しくなった場合は

 

そのうえで資格確認書がない、紛失したという人は再発行の手続きが必要です。マイナ保険証を登録したものの利用が難しい人も、申請すれば資格確認書が発行されます。親族などの代理申請もOK。保険組合や自治体にご相談を。

 

資格確認書は、2025年8月から75歳以上の人には全員、マイナ保険証の登録の有無にかかわらず配布されています。従来の保険証と同様、有効期限が切れる前に更新された資格確認書が届くはずでした。

 

ですが2026年8月以降、この運用が変わります。85歳以上は変わらず全員配布ですが、75歳以上84歳以下の人には、マイナ保険証を年6回以上使うなどの条件を満たすと配布されません。

 

それでも、本人がマイナ保険証を使えるうちは問題ないでしょう。しかし認知症や病気などでマイナ保険証の認証が難しくなり、資格確認書が必要となったら、75歳以上でも申請しなければなりません。この変更はもっと周知徹底されねばならないと思います。

 

それにしても、保険証と診察券を出すだけだった病院の受付は、マイナ保険証の認証と診察券を出す2段階になりました。

 

マイナ保険証に投薬履歴が登録されるといいますが、投薬情報が即時反映される電子処方箋を導入する医療機関は約41%(2026年7月、デジタル庁)。それ以外の医療機関では直近1カ月分のデータは見られません。結局、私たちは今もお薬手帳を手放せないのです。

 

デジタル化で、かえって不便になった気がするのは私だけですか。誰もが安心して便利に使えるデジタル化を実現してほしいものです。

 

【PROFILE】

おぎわらひろこ

家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数。

 

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